人材

基本的な考え方

KONOIKEグループの強みの源泉である「人」の成長こそが、持続的な企業価値向上を実現するうえで不可欠であると考えております。2030年ビジョンでは、教育・訓練など「人」への投資を通じ、「人」の能力を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげていこうとする「人的資本経営」に取り組んでいます。
この中期経営計画においては、経営戦略に基づく人材育成を推進するとともに、生産性と相関関係にあるエンゲージメント向上の取り組みを進めています。2023年3月期より社員一人ひとりのウェルビーイング(幸せを感じる状態)の実現に向けて、当社の現在のありのままの姿を可視化するため、ウェルビーイング・サーベイを実施しております。今後も継続的なサーベイの実施により、課題の抽出と改善施策の実行によるPDCAを構築し、人的資本をより強化してまいります。
人権に関する取り組みについては、新たに人権方針を定め、今後はこの方針に基づきながら、ビジネスパートナーと一体となって進めてまいります。また、女性・外国人・高齢者・障がい者など多様な人材が、その能力を最大限に発揮して価値創造を実現していく職場環境整備を推進してまいります。

2030年ビジョン

経営戦略に基づく⼈材育成の推進

(a)事業戦略に即した事業系⼈材育成

KONOIKEグループには多岐にわたる事業形態があり、それぞれの個別の事業戦略に即した人材戦略が必要です。「どのようなスキルを持った人材が、いつまでに何人必要か」、明確な目標を設定し、計画的にさまざまな事業部門でプロフェッショナル人材を育成してまいります。そのためには、これまで会社を支えてきた基盤事業のみならず、空港・メディカル・エンジニアリングなど、2030年ビジョンにおける注力事業にも必要な人材を配置するKONOIKEグループ全体の人材ポートフォリオづくりが重要な課題となります。2030年にそれぞれの事業としてありたい姿を定め、それに必要な人材をバックキャスティングする人材マネジメントを構築します。その準備として、2021年にタレントマネジメントシステムを導入し、人材情報の可視化が進みました。今後は経営人材や事業系エキスパートなど、一定要件を定めた人材をプール化し、新たな仕組みによる育成を進めてまいります。

(b)専門性の⾼いコーポレート系⼈材育成

当社は2022年4月に東京証券取引所のプライム市場に移行し、さらに高いガバナンスが求められるようになりました。そのため、経営企画・法務・総務・人事・経理といったコーポレート部門において、より高い知識と統制力のあるプロフェッショナル人材を社内で育成しています。これまでの取り組みとして、高度な知識やスキルを養うために、部門ごとに階層別の職務基準書の整備を行い、計画的に人材育成を進めています。階層ごとに水準の異なる職務基準書に記載の業務レベルをクリアしているかどうかというポイントでトレースをすることにより、個々のスキルの到達点と育成強化点をわかりやすくした上で、効率的な指導が行えることに加え、スキル習得のモチベーションアップや、階層レベルの均質化などさまざまな効果を生んでいます。こうした育成方法を進めることで、専門性の高いコーポレート系人材を育成する仕組みが整いつつあります。

(c)「部門を越えた連携」による課題解決⼒・提案⼒の⾼い⼈材育成

KONOIKEグループでは、多岐にわたる分野で事業を展開し、それぞれの分野で豊富なノウハウを有していますが、お客さまに提供するサービスの品質向上や付加価値の創出には、それらのノウハウをグループ内で共有し、部門間で連携して活用できる高い課題解決力・提案力を持った人材の育成が必要と考えています。具体的には、人事面において、さまざまな経験を積み知見を広げるために、若い世代からのジョブローテーションや、管理職層の部門をまたぐ人事異動を積極的に進めています。そして教育面においては、課題解決力・提案力を向上させるためのカリキュラムを充実させるとともに、各グループ会社の従業員が合同で学ぶ階層別研修・公募型研修を開催することで交流の機会を増やすなど、人事と教育の両輪での人材育成を進めてまいります。

(d)技術革新・ICT部門の専門性強化および全社でのリテラシー向上

経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、将来の予測が困難になってきている中、事業環境の変化に合わせた事業変革の重要性が高まっています。KONOIKEグループでは、事業変革に必要な技術革新・ICTの専門性を強化するために、担当者を外部団体の研究会や技術セミナー・講習会に積極的に参加させるとともに、全社でのリテラシー向上を目指した「現場が変わる先端技術講習」「AIプログラミング講習」を2020年より開催しています。さらに2023年には動画教材「DX入門講習」を作成し、すでに従業員の約9割が受講を終えています。KONOIKEグループの2030年ビジョン「技術で、人が、高みを目指す」の実現と、さらなる成長、企業価値向上を実現するために、今後も引き続き、技術革新・ICT部門の専門性強化と全社でのリテラシー向上のための取り組みを充実させてまいります。

従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上

(a)企業理念の浸透

KONOIKEグループの成長・企業価値の向上のためには、従業員が会社を信頼し、進むべき方向性を十分理解した上で、貢献意欲を持って働くことが大切です。その前提として、社員の一人ひとりがグループの企業理念や行動指針などを定めた「私たちのブランド」を理解し、日々の仕事の中で実践することが肝要であり、これらを醸成するために、経営層と従業員が幅広く対話するワークショップ形式の「カタリバ」により、インナーブランディング活動を進めています。一方で、どの程度「私たちのブランド」が浸透しているのかという点については、これまでの活動により理解は深まっているものの、実践度については比較的低調であるという社内の声が多く、今後の課題と捉えています。こうした声を経営層および管理職にフィードバックし、まず組織の上位者から率先して「私たちのブランド」を体現することに取り組み、今後のさらなる浸透を図ってまいります。

(b)従業員の幸せの追求

健康経営

当社は、2023年2月に「健康経営宣言」を策定し、従業員のパフォーマンスや人材の安定的な確保と定着率を向上させるための重点施策に取り組んでいます。2024年3月には、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実施する「健康経営」の取り組みが優良であると評価され、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されました。また、その他にも、健康経営の一環として推進する従業員の運動習慣の定着のための取り組みが評価され、2023年12月にはスポーツ庁より「スポーツエールカンパニー2024」に認定されました。スポーツエールカンパニーの認定は、2019年に初認定後、今回で2度目となります。
今後も組織的な健康保持・増進活動の展開と、健康づくりのためさまざまな施策を推進し、従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと輝くことで幸せを実現できるよう健康経営に積極的に取り組んでまいります。

エンゲージメントサーベイ

従業員が個々のパフォーマンスを十分に発揮するためには、やりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境が必要です。仕事を通じて感じる幸福度は、パフォーマンスとの関係性が高くかつ大きな影響を与えていると考えます。ライフスタイルや働き方が多様化する中で、従業員一人ひとりのウェルビーイング(幸せを感じる状態)を実現するために、2022年11月にパーソル総合研究所による「ウェルビーイング・サーベイ」を実施し、働く幸せ実感と働く不幸せ実感、およびその下地となる組織の状態を計測しました。この調査結果を改善活動の出発点として全従業員で認識し、全社で行う企業風土の改善と、拠点ごとの特性に応じた改善の二軸によるPDCAを展開しています。
2024年2月には2回目のサーベイを実施しましたが、結果としては1回目のスコアと比較してわずかに改善したものの、目標値には至りませんでした。今後もスコアの改善を指標として追求しながら、経営層が従業員の本音と向き合い、課題の解決に取り組むことにより、より良い企業風土づくりにつなげてまいります。その結果、従業員が仕事を通じて幸せを実感し、それぞれの持つ能力が最大限に発揮される状態を目指してまいります。

人材育成について

KONOIKEグループの事業活動において欠かすことができない、安全で高品質のサービス提供は、ブランドプロミス「期待を超えなければ、仕事ではない」というKONOIKEマインドを持った「人」であるからこそ実現できると考えています。そして、人材育成は事業戦略を支える上においても最も注力すべきポイントの一つであると考えています。
KONOIKEグループでは、職場での実務を通した指導育成(OJT)と自社3研修センター等でのさまざまな知識習得(OFF-JT)を両輪とし、安全・品質の基礎知識から専門性の高い業務知識、経営管理に必要なヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルに至るまで、独自の教育体系に基づく教育展開を図っています。
また、2030年に目指す姿として「技術で、人が、高みを目指す」を掲げていますが、お客さまと社会の課題解決を図る「現場のあり方」を今後より一層進化させていきます。そのためにはさまざまな職場において不可欠となる「安全と品質」をベースとしたプロフェッショナルな知識・技術の習得が重要となりますが、現場業務を担う専門職を主たる対象として、鴻池テクノ研修センター※1と安全品質研修センター※2の2つの自社センターにて、管理者向け階層別研修、現場管理技術、物流技術、実技系技術、資格取得教育のさらなる充実を図っていきます。そして、サステナビリティを追求していく上で「KONOIKEグループの永続的発展に積極的に貢献し、事業戦略の拡大に向けた広い視野と上場企業として良識のある人材」の育成も重要となりますが、「業務遂行に必要な知識・技能を習得させるとともに、優れた創造力や合理的判断力、実行力を有する社員を育成する」という方針に沿って、総合職を対象にKONOIKE GROUP 人材開発センターにて年次・階層別・選抜型研修の開催や社外プログラムへの派遣を通し、グループ会社も含めた次世代経営人材の育成を推進※3しています。

※1:鴻池テクノ研修センター(大阪)

安全・品質などの一般基礎から工程管理知識(5S管理、解析・改善手法、法令など)、請負現場に必要な技術(設備オペレーション、メンテナンス、資格など)を習得。

  • 設備保全実習
    設備保全実習
  • 挟まれ巻き込まれ危険体感教育
    挟まれ巻き込まれ危険体感教育
  • 工具類の定位・定品・定量管理事例
    工具類の定位・定品・定量管理事例
  • 機械保全技能士(電気)受検対策
    機械保全技能士(電気)受検対策

※2:安全品質研修センター(千葉)

国の認定機関としてフォークリフト運転技能講習、運行管理者講習の他、運転者適性診断やフォークリフト運転業務従事者教育を実施。

  • フォークリフト運転技能講習
    フォークリフト運転技能講習
  • 運転者適正診断受診
    運転者適正診断受診

フォークリフト運転の資格取得/運行管理者講習(貨物)

※3:グループ会社も含めた次世代経営人材の育成を促進

グループ全体でレベルを合わせて次世代経営人材の育成強化を図るため、総合職対象の年次・階層別研修にグループ会社社員も合同受講できるよう順次進めており、現在対象カリキュラムを「7年次基礎研修」「新任係長基礎研修」「新任副長基礎研修」から経営幹部候補者向けの「経営者育成研修(初級)」「経営者育成研修(上級)」まで拡大しています。

専門職の教育体系図

2024年10月1日
専門職の教育

総合職の教育体系図

2024年10月1日
総合職の教育体系図

グローバル人材の育成

多種多様なグローバル企業、グローバル化を進めるお客さまを支援する上で、グローバル人材の育成は不可欠です。KONOIKEグループは、幅広い知識や教養を備えた人材を育成し、現地の風土、習慣、文化に対する理解を深め、現地に根ざした事業展開を推進します。 そのために、グローバル人材の育成を進めると同時に外国籍や留学生など多様な人材の採用促進を図っています。

KONOIKEグループ統合報告書2024

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