機電一体の価値創造でエンジニアリング事業の拡大を目指す。
KONOIKEグループに参画したエヌビーエスの挑戦
プロジェクトストーリー
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エヌビーエス(株)(以下、エヌビーエス)にKONOIKEグループからM&Aのオファーが届いたのは、2018年初頭だった。
福岡市博多区に本社を構えるエヌビーエスは、電気計装領域のエンジニア派遣を行っている社員数約70名の企業である。
決して規模は大きくないが、国内大手のプラントエンジニアリング会社と直接取引を行っており、技術力の高さには定評があった。
この2018年は、KONOIKEグループが次なる成長の原動力としてエンジニアリング本部(当時の名称は環境・エンジニアリング本部)を発足させた年でもある。プラント機器・設備の機械設計・据え付け工事を展開していたエンジニアリング本部にとって、電気計装の高い技術と実績を持つエヌビーエスとの資本提携は、今後の成長に不可欠だった。
このオファーを受けてエヌビーエスは、KONOIKEグループに参画するのだが、実はその決断の背景に、もう一つのM&A案件が影響していたことはこれまで語られてこなかった。
福岡市博多区に本社を構えるエヌビーエスは、電気計装領域のエンジニア派遣を行っている社員数約70名の企業である。
決して規模は大きくないが、国内大手のプラントエンジニアリング会社と直接取引を行っており、技術力の高さには定評があった。
この2018年は、KONOIKEグループが次なる成長の原動力としてエンジニアリング本部(当時の名称は環境・エンジニアリング本部)を発足させた年でもある。プラント機器・設備の機械設計・据え付け工事を展開していたエンジニアリング本部にとって、電気計装の高い技術と実績を持つエヌビーエスとの資本提携は、今後の成長に不可欠だった。
このオファーを受けてエヌビーエスは、KONOIKEグループに参画するのだが、実はその決断の背景に、もう一つのM&A案件が影響していたことはこれまで語られてこなかった。
2017年1月末、当時営業部長だったエヌビーエス代表の辻山徹は、勢い込んで社長室のドアをノックした。
「社長!私は今回のM&Aには賛同できません。会社と社員の未来のために、再考願えませんか」と、直談判した。
このとき既に両社の間で契約が進められており、M&Aを止めるならここしかないギリギリのタイミングだった。
ことの発端は2016年秋口に遡る。とある派遣会社からエヌビーエスにM&Aのオファーが届いた。創業社長は、この提案を前向きに捉え、交渉窓口として会社の全容を理解している辻山を指名した。2017年1月某日、辻山は、M&Aのオファーを受けた派遣会社の本社を訪ねた。同社社長や役員と対面し、M&Aの詳細な条件や要望を話し合った。
「当時の当社は売上の9割をエンジニア派遣が占めていました。派遣は相手方の都合で契約を打ち切られるリスクがあるため、安定経営に向けて自社請負を増やしたいと考えていました。この資本提携を成功させ、自社請負の拡大につなげたいというのが、我々の思惑でした」(辻山)
しかし、その思惑は叶わなかった。先方が提示した条件では、自社請負を増やして事業拡大することは困難だった。また、社員が現在の仕事を続けられる確証を得られなかったこともあり、辻山はこのM&Aには賛同できないと考えた。長年採用に携わり、社員を家族のように大切にしてきた辻山は、その思いを、あの日、社長にぶつけたのだった。会社と社員の未来を真剣に考える辻山の言葉に心を動かされた社長は、M&A成立直前で交渉の打ち切りを決断した。
「社長!私は今回のM&Aには賛同できません。会社と社員の未来のために、再考願えませんか」と、直談判した。
このとき既に両社の間で契約が進められており、M&Aを止めるならここしかないギリギリのタイミングだった。
ことの発端は2016年秋口に遡る。とある派遣会社からエヌビーエスにM&Aのオファーが届いた。創業社長は、この提案を前向きに捉え、交渉窓口として会社の全容を理解している辻山を指名した。2017年1月某日、辻山は、M&Aのオファーを受けた派遣会社の本社を訪ねた。同社社長や役員と対面し、M&Aの詳細な条件や要望を話し合った。
「当時の当社は売上の9割をエンジニア派遣が占めていました。派遣は相手方の都合で契約を打ち切られるリスクがあるため、安定経営に向けて自社請負を増やしたいと考えていました。この資本提携を成功させ、自社請負の拡大につなげたいというのが、我々の思惑でした」(辻山)
しかし、その思惑は叶わなかった。先方が提示した条件では、自社請負を増やして事業拡大することは困難だった。また、社員が現在の仕事を続けられる確証を得られなかったこともあり、辻山はこのM&Aには賛同できないと考えた。長年採用に携わり、社員を家族のように大切にしてきた辻山は、その思いを、あの日、社長にぶつけたのだった。会社と社員の未来を真剣に考える辻山の言葉に心を動かされた社長は、M&A成立直前で交渉の打ち切りを決断した。
M&A騒動が落ち着いた翌2018年、KONOIKEグループからオファーが届く。M&Aの交渉を託された辻山は、当時の印象を話す。
「自社請負を拡大したいと話すと、鴻池運輸の当時の副社長は『どんどんチャレンジしてほしい。今御社の売上げは8億円だから、10年後には500億円になっているかもしれないね』と、笑顔で背中を押してくれました。当社の技術力と将来性を高く評価してくださるだけではなく、社員を大切にし、チャレンジを応援してくれる、その姿勢に感銘を受け、KONOIKEグループに入ることが、エヌビーエスの成長につながると確信しました」
こうして交渉が進められる中、「エヌビーエスの社名を残すこと」「社員が今の仕事を続けられるように配慮すること」という条件が承諾され、2018年5月に資本提携契約が成立した。このビッグニュースを告げられた社員はもちろん驚きもあったが、KONOIKEグループの対応や条件が分かり、大半が好意的に受け止めてくれた。
上級エンジニアでエヌビーエス横浜営業所の田村所長は、「M&A後も仕事内容は変わらない。我々がやれること、やりたいことを伸ばす条件だと伺ったので、それならやる価値はあると感じました。我々が持つ電気計装の技術力を発揮すればKONOIKEグループとの強いシナジーが生まれるのではないかと期待が膨らみました」と、資本提携を知ったときの感想を話す。
「自社請負を拡大したいと話すと、鴻池運輸の当時の副社長は『どんどんチャレンジしてほしい。今御社の売上げは8億円だから、10年後には500億円になっているかもしれないね』と、笑顔で背中を押してくれました。当社の技術力と将来性を高く評価してくださるだけではなく、社員を大切にし、チャレンジを応援してくれる、その姿勢に感銘を受け、KONOIKEグループに入ることが、エヌビーエスの成長につながると確信しました」
こうして交渉が進められる中、「エヌビーエスの社名を残すこと」「社員が今の仕事を続けられるように配慮すること」という条件が承諾され、2018年5月に資本提携契約が成立した。このビッグニュースを告げられた社員はもちろん驚きもあったが、KONOIKEグループの対応や条件が分かり、大半が好意的に受け止めてくれた。
上級エンジニアでエヌビーエス横浜営業所の田村所長は、「M&A後も仕事内容は変わらない。我々がやれること、やりたいことを伸ばす条件だと伺ったので、それならやる価値はあると感じました。我々が持つ電気計装の技術力を発揮すればKONOIKEグループとの強いシナジーが生まれるのではないかと期待が膨らみました」と、資本提携を知ったときの感想を話す。
鴻池運輸 エンジニアリング本部 本部長の坂本敦哉は、エヌビーエスとの資本提携について以下のように話す。
「モノを運ぶ・預かるだけで成長を続けられる時代は終わりました。KONOIKEグループがさらに飛躍するには、エンジニアリング本部の事業拡大が必要です。しかし、グループには電気計装を担える技術と人材がいませんでした。事業拡大に向けて電気計装領域の補強を探る中、高い技術力と優れた人材を持ち、チャレンジ精神を大事にする企業文化が合致したのがエヌビーエスでした」
目指したのは、機械工事と電気計装工事を一体的に請け負う「機電一体(きでんいったい)」の実現だ。これを実現すれば、顧客の信頼を獲得しやすく、受注確率が高まり、利益率の向上も期待できる。つまり「機電一体」は、鴻池運輸にとっても、エヌビーエスにとっても、事業拡大を象徴するキーワードなのだ。
「モノを運ぶ・預かるだけで成長を続けられる時代は終わりました。KONOIKEグループがさらに飛躍するには、エンジニアリング本部の事業拡大が必要です。しかし、グループには電気計装を担える技術と人材がいませんでした。事業拡大に向けて電気計装領域の補強を探る中、高い技術力と優れた人材を持ち、チャレンジ精神を大事にする企業文化が合致したのがエヌビーエスでした」
目指したのは、機械工事と電気計装工事を一体的に請け負う「機電一体(きでんいったい)」の実現だ。これを実現すれば、顧客の信頼を獲得しやすく、受注確率が高まり、利益率の向上も期待できる。つまり「機電一体」は、鴻池運輸にとっても、エヌビーエスにとっても、事業拡大を象徴するキーワードなのだ。
機電一体の代表例が、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のプロジェクトだ。これは、大阪ガス様が環境省から受託した「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」の中で、大阪広域環境施設組合舞洲工場で実証運転していた生ゴミ由来のバイオガスから「eメタン(カーボンニュートラルな次世代の都市ガス)」を生成するメタネーションプラントを、万博会場へ移設するプロジェクトだった。
このプロジェクトに臨んだのは、鴻池運輸 エンジニアリング支店と関西支店此花営業所、そしてエヌビーエスのメンバーだった。
最大の課題は設備のレイアウト変更だった。そのまま移設するだけならば、移設前の電気ケーブル等を移設先でも流用できるが、今回はレイアウトが大幅変更となるため、設計段階からすべて再考しなければならなかった。
「ケーブルが1本でもつながらなければ、プラントは動きません。それを防ぐために徹底した事前調査を行いました。膨大なケーブルを1本ずつ調べて図面に落とすだけでも大変な工数がかかりました。特に苦労したのは、液体、気体、蒸気の圧力差を測定する特殊な差圧圧力伝送器の調達です。非常に特殊な計器で、当初メーカーから納期に間に合わないと言われました。必死の調整と交渉でギリギリ間に合わせましたが、まさに綱渡りのような現場でした」と、プロジェクトマネージャーとして電気計装工事を仕切った田村所長は、その困難さを話す。
設備の移設・設置を担ったエンジニアリング本部も苦労の連続だった。全国から集まったメンバーがウイークリーマンションに泊まり込み、連日工事に挑む過酷な現場となった。しかし、万博という国家規模のプロジェクトの一端を担う責任感と、KONOIKEグループのプライド、全メンバーの熱意により、無事工期内に納めることができた。
成功した要因の一つが、「機電一体」の体制だった。
「鴻池運輸のメンバーに計器取り付けをお願いしたり、機械設置の裏側で同時に電気工事を進めるなど、密に連携を取ることで工期に間に合わせることができました。まさにKONOIKEグループの総力が発揮されたプロジェクトです」と田村所長。
2025年3月末、移設プロジェクトは予定通り完了、無事に試運転が実施された。万博という国際的舞台でプロジェクトを成功させた波及効果が、鴻池運輸にももたらされた。
「国内外の企業から『鴻池運輸はプラントエンジニアリングもできる』との認知を広める絶好の機会となりました。これまで取引のなかった大手ゼネコンや海外のイベントプロデュース会社などから声が掛かり、大規模プロジェクトの受注や共同研究につながっています」と、坂本本部長は万博の波及効果を話す。
このプロジェクトに臨んだのは、鴻池運輸 エンジニアリング支店と関西支店此花営業所、そしてエヌビーエスのメンバーだった。
最大の課題は設備のレイアウト変更だった。そのまま移設するだけならば、移設前の電気ケーブル等を移設先でも流用できるが、今回はレイアウトが大幅変更となるため、設計段階からすべて再考しなければならなかった。
「ケーブルが1本でもつながらなければ、プラントは動きません。それを防ぐために徹底した事前調査を行いました。膨大なケーブルを1本ずつ調べて図面に落とすだけでも大変な工数がかかりました。特に苦労したのは、液体、気体、蒸気の圧力差を測定する特殊な差圧圧力伝送器の調達です。非常に特殊な計器で、当初メーカーから納期に間に合わないと言われました。必死の調整と交渉でギリギリ間に合わせましたが、まさに綱渡りのような現場でした」と、プロジェクトマネージャーとして電気計装工事を仕切った田村所長は、その困難さを話す。
設備の移設・設置を担ったエンジニアリング本部も苦労の連続だった。全国から集まったメンバーがウイークリーマンションに泊まり込み、連日工事に挑む過酷な現場となった。しかし、万博という国家規模のプロジェクトの一端を担う責任感と、KONOIKEグループのプライド、全メンバーの熱意により、無事工期内に納めることができた。
成功した要因の一つが、「機電一体」の体制だった。
「鴻池運輸のメンバーに計器取り付けをお願いしたり、機械設置の裏側で同時に電気工事を進めるなど、密に連携を取ることで工期に間に合わせることができました。まさにKONOIKEグループの総力が発揮されたプロジェクトです」と田村所長。
2025年3月末、移設プロジェクトは予定通り完了、無事に試運転が実施された。万博という国際的舞台でプロジェクトを成功させた波及効果が、鴻池運輸にももたらされた。
「国内外の企業から『鴻池運輸はプラントエンジニアリングもできる』との認知を広める絶好の機会となりました。これまで取引のなかった大手ゼネコンや海外のイベントプロデュース会社などから声が掛かり、大規模プロジェクトの受注や共同研究につながっています」と、坂本本部長は万博の波及効果を話す。
KONOIKEグループの中期経営計画2027には、「エンジニアリング領域の拡大と高付加価値化を実現し、請負事業の質的転換と安定的な収益基盤の確保につなげる」との方針が掲げられている。この方針に則りエンジニアリング本部は今、新たなステージへ向かおうとしている。
「将来の事業拡大と高付加価値化を見据え、大手ゼネコンと共同で配管・配線をユニット化する施策や、大型発電プラント、国際的リゾート開発、大規模土木などのプロジェクトが水面下で動いています。近年はエンジニアリング領域でもDXが求められており、エヌビーエスの存在価値が高まっています。同社の今後の成長に期待しています」と、坂本本部長はエールを送る。
「将来の事業拡大と高付加価値化を見据え、大手ゼネコンと共同で配管・配線をユニット化する施策や、大型発電プラント、国際的リゾート開発、大規模土木などのプロジェクトが水面下で動いています。近年はエンジニアリング領域でもDXが求められており、エヌビーエスの存在価値が高まっています。同社の今後の成長に期待しています」と、坂本本部長はエールを送る。