【後編】エンジニアリング本部が見据える「未来」
※【前編】はこちら:https://www.konoike.net/story/detail/20240403121835.html
※所属・役職名等はインタビュー当時(2024年3月)のものです。
エンジニアリング本部内の業務に視点を移すと、各営業所と本部の他、営業所同士の情報交換から、それぞれの営業所によって異なる強みが組み合わさり、新しい仕事の受注につながっている。三好は「各営業所の情報やお客さまとの関係性を生かして事業分野を拡大しながら、個々の従業員が持つ能力や強みを発揮できる施工環境、施工体制の増強を意識しています」と語る。
従来は拠点となる営業所ごとに、それぞれのお客さまとの間で仕事が完結していたところを、現在では各営業所が協力し合うことで、より大きな仕事ができるようになった。その背景には、本部が積極的に音頭を取り、各拠点の理解・協力のもとに営業所間のコミュニケーションを活性化したことがある。
南:部門を超えて、協力会社を含めたコミュニケーションが活発になると、業務上のいろいろな側面でプラスになる効果が出てきています。お互いのことを理解し、さまざまな立場でお客さまの課題を考えることができるようになり、そこから新たなお客さまのニーズが見つかっています。
具体例としては、グループ会社のエヌビーエス(株)と一緒に、電気だけではなく機械施工もあわせて提供可能なこととそれによるメリットをアピールし、案件獲得につながった。また、グループ会社の中電産業(株)と連携して、土木基礎工事を含めた設備据付工事を一式で受注した事例もある。
加えて、社内コミュニケーションの活性化や外部とのネットワークの拡大・強化において大きな役割を果たしたのがキャリア採用者の存在である。
南:いろいろな取り組みを進めるにあたり、我々には無かった視点や考え方をもたらしてくれたのはキャリア採用のメンバーです。彼らの視点や考え方で仕事が進んだケースが多々あります。
加納の前職では、基本的に一つの職務のエキスパートになる。そのため1カ所に留まる工事が主になるが、KONOIKEグループのエンジニアリング本部では多業種多方面のプロジェクトにアクセスし、いろいろなアクションを起こすことが可能になるため、自分の力が試せる。加納は“やりたいこと”の実現へ向けた挑戦を決意した。
播磨営業所・係長の井川も、工事保全やメンテナンスを手掛ける施工会社に勤めていた。たまたま新たに工場を建設するKONOIKEグループと合同で仕事にあたる機会があり、その現場経験を経てチャレンジを決意。それまで保全設備の補修がメインだった井川にとっては、新たなプラントをつくっていくことが次の目標に定まった。
現場の営業所からエンジニアリング本部を支える加納は、日々の仕事に向き合う想いをこう語る。
加納:入社して8年目に入るところです。当初思い描いていた仕事を手がけてきているという自負はありますが、一方で「こうしたい」と考えているところにまではまだ至っていないのが本音。これまでは営業所の基盤を整えることを第一にしていましたが、ここからステップアップの段階だと認識しています。
加納や井川をはじめ、現場の社員たちがお客さまと接する日常の業務や、新たなプロジェクトに向き合う上で誇りにしているのは、KONOIKEグループとしてのシナジーだ。それによる独自の強みを実感しながら、先を見据える。
加納:これまでの製鉄所における生産請負の豊富な実績と、グループ内外の得意分野をかけ合わせたシナジーから、各種にわたる業務の複合ソリューションを提供できることが、我々独自の強みです。一方、エンジニアリング単体で見ると、競合他社と比較するとまだまだ実績が少ない。しかし、技術力がコアに集中しているので、個人の能力は決してどこにも引けは取りません。まだまだ人的リソースが足りていない面もありますが、グループの最大の強みは、人を大事にする社風があり、人のつながりを大切にする会社ということです。未来は思い描けています。
本部が直面する課題もある。成長分野であるエンジニアリングは市場が拡大する一方、建設業界内では慢性的な技術者不足に陥っている。そうした中、KONOIKEグループの特徴である社内外のバンドリングを最大限に生かすための人材拡充に鋭意取り組んでいる。
三好:建設業界の施工管理業務においては、特に若手の人材不足が喫緊の課題です。プラント工事やメンテナンス業界の外部環境は大きな転換期を迎えており、人材不足の他にも設備老朽化など課題が多いのですが、同時にそれはチャンスにもなります。メーカーなどの設備更新や環境対策、次世代エネルギープラント投資が長期間にわたって期待でき、施工管理の仕事への需要は今後ますます高まっていく、と見込んでいます。
南:我々の特徴である、バンドリングを最大限に生かすためには、多様な人材が欠かせません。キャリア採用の方々は、ゼネコンやプラントメーカー出身者など多岐にわたり、さまざまなバックグラウンドを持った方が活躍しています。多様な個人の力を結集して、ともにKONOIKEグループのエンジニアリング事業を盛り上げていきたいと思っています。
事業拡張に向けて社内外のシナジーを追求するのと同時に、足元の本部内では多様な人材のさらなる補強が、未来への成長と発展において不可欠になる。そこでは、ただ技術者採用を強化するだけではなく、独自の育成も視野に入れている。
三好:キャリア採用を積極的に行っており、多くの仲間が入社しています。今後さらにサービスを拡大していくにあたっては、前例に囚われず、グループの強みと全社員のスキル、能力を組み合わせ、新しい価値をお客さまへ提供していきたいと考えています。
南:スキルや経験重視ではありますが、同時に経験や資格が無い若い人材を育てていくことも重視しています。エンジニアリング事業を拡大していく上で一番大事なのは人材です。また、海外にチャレンジしている人もいるので、今後そういう意欲を持った人材も招き入れていきたいですね。
三好:将来に向けて人材を増強・育成し戦力を整えつつ、新しい分野に挑戦していかないといけないと考えています。メンバー一人一人の個性や強みを生かし、より魅力ある職場をつくっていきたいですね。
エンジニアリング本部の目指すべき姿を、三好は「既存事業の収益力強化とつなげる力で新規事業領域の拡大を続ける事業本部」とする。
お客さまや協力会社との信頼関係を深めるのと同時に、グループ内の組織の枠を超えたネットワークを構築していくことから、常に新しい仕事の流れを生み出していく。それが、成長を続けるエンジニアリング本部の未来であり、KONOIKEグループの発展をけん引していく。
三好:グループの主要取引先は、幅広い分野の大手メーカーであり、それぞれの企業の物流事業や生産工程サービスでの取引があります。まずはグループ内の組織との多方面での情報交換から、組織の枠を超えた社内外の協業となるつながりを拡大し、エンジニアリング事業の幅を拡張していきたい。グループが培ってきたスキルやノウハウを組み合わせれば、さらなる新たなお客さまへの新しい価値の提供につながると信じています。