ご安全に。広報室です。2026年9月9日、東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2026」のプレゼンテーションセミナーでは、「現場から変える、持続可能なオペレーション」をテーマに、鴻池運輸(株)と(株)シマント様が共同登壇し、データ活用と現場運営の両面から、持続可能な物流を実現するための取り組みをご紹介しました。当日は、多くのお客さまにご来場いただきました。心より御礼申し上げます。
当日会場でお伝えした内容を、講演を聴講できなかった方にも分かりやすいようにご紹介します。前編では、輸送力不足という課題に対し、各拠点のデータをつないで輸送ネットワーク全体の効率化を目指す「集中配車センター構想」を取り上げます。
多くの聴講者をお迎えしたセミナー会場
物流業界では、担い手不足や高齢化に加え、時間外労働の上限規制により、トラックドライバー1人が走れる距離の短縮、曜日や長期休暇前後の繁閑差、配車業務の属人化など、複数の課題があります。
これらの課題により、国土交通省は、2030年度に平均約7%から最大約25%、輸送量にして約1.7億トンから7.2億トンの輸送力不足が生じる可能性を示しています。物流を持続可能なものにするためには、個社の努力を積み重ねるだけでなく、物流全体の効率化に目を向ける必要があります。
これまで各社・各拠点では、自拠点の荷物や車両の情報をもとに、日々の配車を組み立ててきました。しかし、拠点単位で見ている限り、他拠点の荷物情報や帰り便の輸送需要を捉えることはできません。その結果、往路は荷物を積んでいても、復路は空車のまま走行する「片荷輸送」が生じやすくなります。
一つの拠点を効率化することは重要です。一方で、そこに閉じた改善だけでは、輸送ネットワーク全体の効率化にはつながりません。必要なのは、「点」から「線」へ、そして「面」へと視点を広げることです。
こうした課題を解決するため、鴻池運輸は、シマント様と協業し、集中配車センター(COP:Center OPeration)の構築を進めています。シマント様は、配送業務を効率化するシステムを開発・提供する物流DX企業です。鴻池運輸とシマント様は、配送データを活用する基盤づくりや配車の最適化、営業・業務面での連携に取り組み、複数のお客さまとも協力し、物流を効率化する仕組みの構築を目指しています。
COP構想では、まず各拠点の輸送情報をデータ化し、配車業務のデジタル化を進めます。その第一歩となるのが、TMSの導入です。各拠点で発生する配送依頼、配車、協力会社への配送依頼、請求・支払いなどの情報を、TMSを通じて一つの流れにまとめ、同じ形式で蓄積します。
こうして各拠点のデータを整理・統合することで、拠点をまたぐ荷物と車両の動きを把握できるようになります。さらに、輸送量や発着地、車種、便、曜日ごとの波動を可視化し、複数拠点を横断した配車・積載・ルートの改善につなげていきます。
データが整えば、単一拠点では見えなかった帰り便や空きスペースも、ネットワーク全体で活用できるようになります。こうして得られた効果をもとに、荷主企業への提案や、将来的な集中配車センターの運営につなげていきます。
デジタル化は、システムを導入すれば完了するものではありません。特に、紙やFAX、Excelを中心に運用してきた業務を変えるには、現場の理解と納得が不可欠です。
今回のTMS構築では、社内に設置したロジスティクス戦略委員会のメンバーが現場へ繰り返し足を運び、TMSを導入する目的や、データを活用した将来像を説明しました。その上で、業務ヒアリング、試行、現場からのフィードバック、改修、再説明を繰り返しています。
「一度で完成させる」のではなく、「使いながら育てる」。この考え方が、現場に定着する仕組みづくりの出発点です。
鴻池運輸の岡山早島配送センターでは、従来、荷主企業からFAXやメールなどで受け取った配送依頼をExcelへ入力し、配車後には協力会社向けの配送依頼書を別のExcelで作成していました。さらに、請求や支払いのために別のデータへ再入力するなど、同じ情報を何度も入力する必要がありました。
TMS導入後は、配送依頼データをもとに配送計画を作成し、配車後には協力会社ごとの配送依頼書を出力できるよう、業務の流れを一本化。配送依頼データの取り込みから配送依頼書作成までの工程では、現時点で約20%の業務時間短縮につながっています。
また、過去の履歴からパターンを呼び出せるようにするなど、入力の負担を減らす工夫も取り入れています。2026年度中には、グループ会社を含む20拠点へのTMS展開を目指しています。
拠点ごとのデータが整った先には、複数拠点・複数企業をまたぐシミュレーションがあります。
まず、発地・着地・時間などの輸送データをお預かりし、輸送量や車両の動きを可視化します。その上で、荷物と車両の組み合わせをシミュレーションし、実際の運行で実現可能性を検証します。
セミナーでは、東京・大阪間において、異なるメーカーの輸送データを組み合わせ、往路と復路の荷物を確保するラウンド輸送の取り組みを紹介しました。単独の拠点や企業だけでは見つけにくかった輸送需要を組み合わせることで、積載率や実車率の改善を目指します。
こうした取り組みを広げるには、荷主企業だけでなく、同業他社、協力会社、流通企業など、サプライチェーンに関わる多様なプレーヤーとの連携が欠かせません。荷物と輸送力を一つのプラットフォームに集め、業界の壁を越えてマッチングすることで、空車率や積載ロス、走行台数の削減につなげていきます。
集中配車センターも後編でご紹介するコノマップ®も、共通しているのは、システムを現場に一方的に当てはめるのではなく、現場の実態に合わせて仕組みをつくっている点です。
現場を知らなければ、入力項目が多すぎたり、業務の流れと画面の順番が合わなかったり、導入後のフォローが不足したりする可能性があります。だからこそ、現場を知り、現場で検証し、定着するまで伴走することが重要です。
KONOIKEグループは、これからも現場の声を起点に、データ活用と現場運営の両面から、持続可能な物流の実現に取り組んでいきます。
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