ご安全に。広報室です。この記事では、空港での飛行機出発時に欠かせない「プッシュバック」業務と、成田国際空港(成田空港)を拠点とするKONOIKEグループの「日本空港サービス株式会社(JASCO)」が導入した最新の訓練シミュレーターについて紹介します。普段なかなか目にすることのない空港の地上支援業務「グランドハンドリング」の現場に密着し、熟練の技術を次世代へ継承するための革新的な教育方法や、地上から空の安全を守るプロフェッショナルたちの誇りに迫ります。
空の安全運航を支えるJASCOのメンバー。多様な地上業務の連携が、確実な出発を支えている
飛行機は自力で後退できないため、出発前には専用車両で機体を押し出す「プッシュバック」が欠かせません。成田空港でこの重要業務を担うJASCOでは、熟練が必要な技術を次世代へつなぐため、実機に近い訓練ができるプッシュバックシミュレーターを活用しています。
プッシュバックトラクターが、飛行機を後退させている出発を支える「プッシュバック」の瞬間
プッシュバックは、飛行機の大きさや駐機場の形状、周囲の安全確認など、複数の条件を同時に見ながら進める繊細な仕事です。JASCOでは、成田空港の駐機場を再現したシミュレーターを活用し、景色の中の目標物や操縦のタイミングを繰り返し体得できる環境を整えています。
かつては育成に1年半ほどを要し、難しさのあまり習得を断念するケースもありました。シミュレーターの導入後は、訓練の質と量を高められるようになり、育成期間は約6カ月へと短縮。実機訓練と組み合わせることで、現場で求められる判断力と操作感覚の習得が進みやすくなりました。
成田空港の駐機場を再現したプッシュバックシミュレーター。本番に近い環境で、操縦のタイミングや感覚を繰り返し学べる
2024年にプッシュバック業務に就いた白井志乃(しらいしの)さんは、シミュレーターと実機訓練を重ねながら技術を身に付けてきました。「理屈は分かっても、体が動かない」と感じる場面もあった一方で、飛行機の重みや反応の“余韻”を繰り返し体験できたことが大きな助けになったといいます。現在も一便一便と向き合いながら、より確かな技術を磨き続けています。
プッシュバック業務を担う白井志乃さん。シミュレーターと実機訓練を重ねながら、確かな技術を磨いている
白井さんの指導を担った六﨑真一郎(むさきしんいちろう)さんは、シミュレーターの価値を「伝えたいポイントを、その場で見せられること」にあると語ります。感覚に頼りがちだった指導内容を視覚的に共有しやすくなったことで、教える側・学ぶ側の認識がそろいやすくなり、技術継承のスピードも上がりました。
白井さんの指導を担う六﨑真一郎さん。次世代への技術継承を進めている。
プッシュバックは、空港の地上業務の中でも高い専門性と責任が求められる仕事です。JASCOでは、シミュレーターを単なる訓練機材としてではなく、安全運航を支える誇りと使命感を次世代へ伝えるための装置として生かしています。2030年以降の成田空港は、ターミナルの一体化(ワンターミナル化)や鉄道アクセスの強化により、より便利で効率的な空港へと生まれ変わろうとしています。そのような変化も見据えながら、地上から空の安全を支える挑戦は続いていきます。
飛行機を所定の位置へ導くマーシャリングの様子。プッシュバックに限らず、こうした一つ一つの地上業務が連携することで、安全で確実な運航が実現している。
プッシュバックをはじめ、マーシャリングや手荷物搭降載、機材整備など、多様な現場の力が一つにつながることで、飛行機は安全に空へ送り出されます。これからもJASCOはチームの力で、空の安全を地上で支えていきます。
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