「他人事」から「自分事」へ!読者の心を動かすグループ報の再設計
昨年、中途入社で鴻池運輸に入社した私ですが、広報室に配属されて真っ先に驚いたのが、グループ報制作チームの仕事への向き合い方でした。企画の立て方から、取材、誌面づくり、そして読者の声を反映するPDCAの回し方まで、制作のあらゆる工程でこだわりが詰まっています。
私は、制作チームの一員ではありませんが、となりで見ていると、一冊ごとに確かな進化があることが伝わってきます。先日、そんな制作チームの日頃の努力を、全社に披露する機会がありました。それが、「コーポレート部門改善事例発表会」です。
こちらは今年8回目となる社内イベントで、本社部門での改善活動の内容を各部門で共有し、意見交換や他部門の業務について学ぶ機会となっています。こうした業務改善の発表会は多くの会社にありますが、コーポレート部門も主体的に参加するのは、愚直に改善を重ねる鴻池運輸らしさの一つだと私は思います。
発表会では、各部門のメンバーもオンラインで聴講し、真剣に耳を傾けていました。
この発表会で、広報室は「K-style」の改善を題材に選びました。発表者は編集長の坪井さん。発表タイトルは「この一冊が、心を揺さぶり、仕事への誇りに火を灯す」です。坪井編集長のグループ報にかける思いがあふれています。
広報室の社内広報活動のミッションは、「ブランドの意義・価値を継続発信し、グループ内の会社や部門を越えた連携と改善の場をつくる」ことです。そう考えると、グループ報の改善は、単なる誌面づくりではなく、経営方針の浸透やグループ内の一体感づくりにもつながる取り組みだといえます。
さまざまな事業を営むKONOIKEグループだからこそ、他部署の取り組みや価値観を知ってほしい。しかし、読者によっては「自分に関係のある話ではない」と他人事としてそもそも誌面を読まないという大きな課題がありました。
さらに、現場では業務上、PCなどのデジタルデバイスを使用しない社員が大半であるという情報環境の壁もありました。どれだけ良質なコンテンツを発信しても、情報を届けるための手段が現状は限られています。
こうした課題に対して、制作チームが取り組んだのは、誌面のクオリティをあげること以上に、「読まれ方」を再設計することでした。
まずは、各発行号ごとに、KONOIKEグループの共通テーマで誌面全体を貫くという手法でした。設定したのは、「安全」「ダイバーシティ」「インド」「技術」という4つのテーマです。テーマを横断的に設定したことで、各部門やグループ各社をまたいだ取材が可能になり、読者が自分の仕事との接点を見つけやすい誌面づくりにつながりました。
(制作工程は大きく増え、制作チームは額に汗を浮かべて必死に編集していた姿はすさまじいものでした……。)
さらに、経営方針など大切だけど内容が難しい情報は、マンガ・イラスト・グラフ・Q&Aなどを用いて、入口をやわらかくしました。なるべく視覚化し、ストーリーとして届けることで、聞きなれない経営言語を消化できるかたちにしました。
情報アクセス環境の改善は、現在、紙と電子を併用し、読者の特性に応じて「K-style」を届けています。
その結果、読者アンケートでは、「毎号読む」と答えた人は昨年度と比較して約70%から81%に増え、「ほとんど読まない」「全く読まない」人は14%から7%に減り、20代・30代の閲読者が増えました。その延長線上として、経団連社内報審査で「総合賞」を受賞することができました。
現在、グループ報の制作を引っ張っているのは、編集長の坪井さんと、いつも笑顔で広報室を支える藤原さんのたった2名です。
私は2人の仕事ぶりから、グループ報の制作において大切なことは、個人のこだわりをしっかり持つことだと思います。言葉にしろ、誌面デザインにしろ、自分のイメージと違う、少しでも違和感があったら妥協せずに議論を重ねる。その積み重ねが、誌面から「人の体温」が伝わる理由なのだと気づかされました。2人が現場の社員の顔を思い浮かべながら違和感と向き合った結果、社員の閲読率UPにつながったと思います。
現状に満足せず、今後は、取材元へ読後アンケートのフィードバックを行い、情報を双方向にしたり、成功事例の陰に隠れがちな失敗事例から学ぶ教訓など、グループ報でしかできない情報の取り扱いをしていきたいとグループ報チーム2人は話します。
これからも、切磋琢磨しながら進化を続ける「K-style」の制作過程や広報室の想いを、KONOIKEジャーナルでお届けしていきます。