現場発ロボット研究のリアル
東京理科大学との共同研究、日本機械学会で「優秀講演論文表彰」を受賞
0ロボットなどの最先端技術を扱う部署と、実際の現場。その距離感が気になる方も多いのではないでしょうか。
研究が高度であるほど、「それ、どうやって事業に取り入れるの?」と不安になることもあります。
しかし、当社の技術革新本部では、その心配は杞憂でした。東京・品川にある鴻池技術研究所イノベーションセンター(以下、技研IC)には、大きな倉庫空間があり、実際の現場を想定したパレットや商品棚が数多く並んでいます。現場を再現した環境の中で、日々、研究と検証が進められています。
今回の取材で驚いたのは、技研ICの社員がとにかくKONOIKEグループの現場が大好きだということ。
現場に何度も足を運び、現場社員の代々伝わる技術や工夫に胸を高鳴らせます。また、前職でメーカーにいたメンバーからは、「これほど多彩な事業を持つ会社で研究できるなんて、腕が鳴る」と、興奮気味に話してくれました。
物流、空港、医療、食品、鉄鋼――多様な現場を持つKONOIKEだからこそ、研究のテーマも広がります。
今回の記事では、
「物流って何がそんなに難しいの?」
「協働ロボットって普通のロボットとどう違うの?」
「大学と企業が組むと、どんな共同研究になるの?」
といったお話を、技術革新本部 則竹本部長と、下村部長にお伺いしました。
ぜひ、最後までご覧ください!
前職でメーカーの技術職として活躍してきた下村部長が、KONOIKEに入って最初に実感したのが、物流現場の複雑さでした。
「たとえば自動車業界では、フルモデルチェンジに4年程度かかります。仕事が始まれば4年間は継続する。でも倉庫の契約は1〜2年、流通加工だと数週間ということもある。仕事のサイクルが短い分、設備投資の回収も難しくて。例えば5,000万円の装置を入れても、契約が終わったら元が取れない。だからさまざまな制約の中でいかに高得点を出せるかが、私たちの技術課題なんです」
さらに繁忙期の"波"も別格です。下村さんいわく、「製造業では月産台数をほぼ一定に保つのが基本ですが、物流は繁忙期に仕事が一気に集中することがあります。製造業のエンジニアから見ると、こんなにサイクルも荷量も揺れる現場で、どうやって投資や設計を考えるの?」という世界です。
研究題目は、「待ち時間を考慮したスケジューリング」です。人がなるべく待たずに作業できる順番とロボットへのタスク割り当てを決定する数理最適化モデルを構築しました。
研究では、ロボットが棚から商品を運び、作業者がその商品を受け取ってピッキングする流れをコンピュータ上で再現しました。そして、ロボット台数によって作業時間や待ち時間がどのように変化するかを分析しました。また、小規模・中規模・大規模の複数の倉庫パターンを設定し、倉庫の大きさとロボット台数によって作業時間や待ち時間がどのように変わるかについても分析しました。
注目したのは、作業全体にかかる時間だけではありません。作業者がロボットを待つ時間、ロボットが作業者を待つ時間、そして人とロボットが無駄なく動けているかも確認しました。今回構築したモデルを活用することで、人とロボットを効率的に運用するために必要なロボット台数を検討するための指標を提供できます。
技術革新本部が追い求めるのは、倉庫の完全自動化ではありません。
「当社は人が主役の会社です。技術はあくまでも人を支援するもの。まず安全を確保したい。次に重筋作業の解消。そして、ただ歩くだけ・待つだけの無駄な作業をなくしたい。『この作業、本当に必要なの?もっと楽にできないの?』と感じた瞬間が、現場の人にとって一番の苦痛だと思っているので」(則竹本部長)
現場に足を運ぶ時はネクタイを外すのが則竹本部長のこだわり。「管理者が来た、という空気にならないように。そうすると現場の人が本音を教えてくれる」。現場の人たちは毎日細かく見ているからこそ、設計する側よりもよく分かっていることがある──その現場への信頼が、技術革新本部の土台にあります。