「伝統は守りつつ、時代の変化に応じて日々アップデートする」ウイスキーの樽職人　豊田修士さん｜KONOIKEジャーナル

こんにちは。KONOIKEグループです。現場で働く従業員をご紹介する”人”シリーズ。
今回は、大手酒類飲料メーカーのウイスキー蒸溜所でウイスキー原酒を貯蔵する樽をつくる職人・豊田さんに、仕事のやりがいやご自身のモットーについてインタビューしました。

■ウイスキー製造の匠にインタビュー

鴻池運輸(株)　食品プロダクツ本部　東日本支店　
白州営業所　豊田修士さん

　―業務内容を教えてください。
　大手酒類飲料メーカーのウイスキー蒸溜所で使用する、ウイスキー原酒を貯蔵する樽をつくっています。樽製造に携わって20年近くなりますが、多いときは一日約60丁の樽を組み立てています。

ウイスキーの芳しい香りを引き出すオーク材の樽

　　―仕事の難しさを教えてください。
　樽づくりにマニュアルはありません。材質・太さ・形状の異なる板から、決められたサイズの樽を組み立てる「組立工程」は経験がものをいいます。適切な板を適切に組まないと、完成した樽はまっすぐ立たなかったり、漏れやすくなったり、規格外のサイズになってしまいます。組み立て時の１ミリの差は、完成時に1センチの差になってしまいます。この仕事を始めた当初、作業自体は2週間もあれば覚えられましたが、適切なサイズと品質の樽を決められた時間の中でつくることができるようになるには、時間がかかりましたね。

部品となる板の選び方、並べ方に完成時の樽の出来は大きく左右される

　―仕事ができるようになるために工夫したことは？
　うまくいかないときはその原因をしっかりと分析しながら、新しい樽をつくり続けました。入社当時の職場は「先輩の背中を見て覚えろ」という職人気質の雰囲気だったので、基本的な技術は教わりつつも、感覚的な部分はひたすら手を動かして学びました。そのときに数をこなした経験が、今に生きていると思います。

　―仕事でやりがいを感じたとき、嬉しかったときは？
　技術を高められたときですね。樽の修理ラインを5年ほど担当したことがあるのですが、樽が破損してしまう原因やパターンを知ることで、壊れにくい樽づくりへの理解が深まりました。一日数千本もの材料板を見極めていると、木目や節から、折れそうな板を判断できる目も養われてきます。曲がった板を使うと、完成した時に規格よりも小さくなってしまうことも、自分の経験したことから学んだことです。より高い精度で樽をつくれるようになるのは嬉しいですね。

傷のある板や脆い板を取り除く作業でも、職人の経験が生きる

―辛かったことはありますか？
　最初に配属された樽の解体ラインは、重さ60キロを超える樽を扱う仕事で、やはり肉体的な負担は大きかったです。一方で、樽の製造ラインは地道に取り組むことができて、達成感もあり、自分に向いていると思います。

―仕事の中で心掛けていることは？
　仕事を日々アップデートしていくことです。樽づくりは伝統的な技術ですが、教えられたことをそのまま継承するだけでなく、試行錯誤を繰り返し、変化の速いこの時代に合った形で継承していく必要があると思います。そのため、後輩の指導においても、先輩方の背中を見て学んだ技術に、自ら手を動かすことで得た知恵やノウハウを加えて、しっかりと言葉で伝えるようにしています。樽の板と同じで、人にもいろいろな個性があるので、その人の個性に合わせて指導を変えることも大切ですね。

職人気質の先輩から学んだ技術と、豊田さんの経験知を次世代につなぐ

―これから実現したいことはありますか？
　やはり、後進の育成ですね。この仕事のやりがいや面白さを知ってもらい、仕事を通じて後輩たちが技術的な部分だけでなく人間的にも成長できるような職場にしていきたいです。

鴻池運輸（株）東日本支店白州営業所
〒408-0315
山梨県北杜市白州町白須7458-3
https://www.konoike.net/company/network/higashi-nihon/

業務概要：製樽業務（新樽製造、修理、解体）、樽プランター製造業務など

「伝統は守りつつ、時代の変化に応じて日々アップデートする」ウイスキーの樽職人 豊田 修士さん

■ウイスキー製造の匠にインタビュー

関連コンテンツを読む

「伝統は守りつつ、時代の変化に応じて日々アップデートする」
ウイスキーの樽職人　豊田修士さん