「物流を止めない通関力」で海外と日本をつなぐ
ニチウン・通関士　田口さん

　通関士は、海外から日本へ貨物を輸出入するときに必要な税関への許可申請を行うことが主な仕事です。税関に申請する書類を作成するオフィス業務がメインですが、輸入貨物の現物検査の立ち会いとして、税関の検査場に行くこともあります。

　お客さまが通関士に求めるのは、専門知識と経験をもとにスムーズかつ低コストな輸出入を実現すること。そのためには、貨物ごとに異なる税率や、危険物などの輸出入を制限する法令や条約も知っておく必要があります。分からないときは、統計品目表と呼ばれる分厚い専門書で、品目ごとの関税を調べたり、外部の専門家に問い合わせます。

　対象の物品と法律の知識を照らし合わせながら、お客さまの貨物が輸出入可能なものか、輸出入する場合はどの品目で申請すれば、より安いコストで通関できるかを判断します。そこが通関士の腕の見せどころですね。

　通関士を目指そうと思っていたわけではありません（笑）。たまたま通っていた学校で通関士を目指す夜間講習があり、現役通関士をされていた講師の方から「試験受けてみたら？」と言われたのがきっかけです。実際に通関士の仕事を始めてから、業務の奥深さにのめり込みました。

　有名なブランドワイン・ボジョレーヌーヴォーの輸入を担当したことがあります。日本国内での解禁日が明確に決まっていて、知名度も高い商品なので、何とか期日までに税関審査を通過しようと奮闘しました。解禁日に間に合ったときは、通関士としてのやりがいを感じましたね。また、海外のアーティストが日本でコンサートを開催するための貨物を輸入したときのこともよく覚えています。小道具の一つに模造刀があったのですが、法令に違反していると税関から指摘され、輸入が止まってしまいました。コンサートに間に合わないとお客さまに多大な迷惑が掛かります。関連する法令を調べ上げた上で、すぐさま現場に直行し、違反がないことを税関に直接交渉したおかけで、何とか期日通りに納品できたときは喜びもひとしおでした。対面でのコミュニケーションの大切さを改めて感じましたね。

　輸出入関連の法令は頻繁に変わるため、最新情報のアップデートは欠かせません。週に一度、経済産業省のWebサイトを見て、税関に関する法令に変更がないかを確認し、部内で共有しています。

　お客さまは私たちを通関のプロとして頼ってくれています。「物流を止めない通関力」をモットーに、よりスムーズに低コストでお客さまの貨物の通関手続きを終えられることを目指して、これからも日々知識をアップデートし、お客さまの期待に応えたいです。