経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

1.会社の経営の基本方針

当社グループは、「KONOIKEグループは、高い品質のサービスを提供し、世界の人々の幸福と安全で安心な社会の実現に役立つプロフェッショナルサービス集団を目指します。」を経営理念としております。
当社グループは、創業以来、お客さまの多様なニーズにお応えすることで、お客さまと共に成長してまいりました。当社グループの存在意義は、製造から物流に至る全工程にわたるサービスを提供することで"お客さまが安心してコアコンピタンスに集中していただけるようにすること"であります。
そのため、当社グループは、業界に精通した単なるエキスパートではなく、お客さまのニーズを的確に捉え、お客さまと一体となって価値を創造、提供していくことができる「プロフェッショナルサービス集団」でなければならないと考えております。
今後も、世界を舞台に「価値創造パートナー」としての挑戦を続け、お客さまと共に未来を創ってまいります。そして、すべてのステークホルダーの皆さまとともに成長し、企業価値を高めてまいります。

2.経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を展望すると、生産労働人口の構造的な減少に伴う人手不足が様々な産業において課題となっており、特に物流業界ではその影響が顕著に表れています。また、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなど、今後の製造・物流などのありかたを大きく変容させる可能性のある様々な技術革新が起こっております。このような環境変化は、長期的に当社グループの事業の前提を大きく変容させるものであると認識しており、このような事業環境の変化をいかに機会として捉えていくかが大きな経営課題であると認識しております。

3.中長期的な経営戦略と目標とする経営指標

[1]前中期経営計画の振り返り

当社グループは、平成28年3月期~同30年3月期を対象とした中期経営計画(以下、前中期経営計画といいます)において、「一人一人が生きがいを感じてチャレンジできる職場風土の中、常にお客さまと共に成長する価値創造パートナーとして、高い品質のサービスを追求するKONOIKEグループへ」を経営基本方針とし、「持続的成長に向けた稼ぐ力の確立」、「ガバナンスの強化」、「社会的責任への取り組み」の3点を重点目標として掲げ、平成30年3月期の数値目標である「売上高3,000億円、営業利益150億円、ROE8.7%」の達成を目指してまいりました。その中で、組織内におけるガバナンス体制の見直しや買収防衛策の廃止などを通じて、当社グループの持つ経営資源の活用がダイレクトに企業価値向上に繋がる仕組みを整えてまいりました。こうした取り組みは今後の成長の土台となるものと確信しておりますが、数値目標については大幅な未達となり課題を残す結果となりました。

[平成30年3月期の数値目標と実績の比較]
目標 実績 差異
売上高 3,000億円 2,767億円 △233億円
営業利益 150億円 110億円 △40億円
ROE 8.7% 7.4% △1.3pt

この大幅な未達の要因としては、以下のような点が原因と考えております。

  • 1.急速に進む事業環境の変化に対応する上で不可欠な「当社グループ全体としての明確な経営ビジョンや方向性」を打ち出せておらず、事業革新や新たなお客さまの創造を十分に果たせなかったこと
  • 2.既存事業及びその周辺事業の深掘りを成長戦略の基本として捉え、売上高・利益の拡大を推進したものの、事業実態の把握について投資収益性の観点など多面的な分析が不足していたこと
  • 3.経営監督・業務執行の責任と権限があいまいであったために、事業の意思決定のスピードや果断さを欠いたこと
  • 4.部門の垣根を越えた当社グループ全体としてのマーケティングが不足したこと

[2]目指す姿と2030年の目標

前中期経営計画の反省を踏まえ、平成30年4月よりスタートする新たな中期経営計画の策定にあたっては、単にこれまでの延長線上の3年間として策定するのではなく、まず2030年における「当社グループの目指す姿」を描きました。
現場で活躍する従業員一人ひとりが誇りを持てる組織、またすべてのステークホルダーの皆さまから「超一流」とのご評価をいただき、すべてのステークホルダーの皆さまとともに豊かになれるような企業価値を創出する会社となることこそが、当社グループが2030年に目指すべき姿であると確信しました。そしてその姿を目指す中で、ステークホルダーの皆さまからさらに信頼を頂けるよう、当社グループのブランドをさらに強くしていきたいと考えております。

[2030年定量目標]
事業ポートフォリオ 10事業本部以上をめざし事業の多角化
売上高 3,500億円~5,000億円
営業利益率 5%以上
ROE 10%以上
物流売上高:サービス売上高(※) 40:60
国内売上高:海外売上高 80:20
  • (※)サービス売上高:複合ソリューション事業における請負業務、エンジニアリング業務など、純粋な物流業務以外の業務の売上高
  • 上記の2030年に目指すビジョンに向けて、将来の中核事業となりうる新事業の創出を含む事業ポートフォリオの拡充を第一とします。売上高目標は幅をもたせつつ、「成長戦略の実現」、「資本の効率化」、「ガバナンスの強化」を進めてまいります。今後、目指すビジョンをさらに明確にしながら、現状に安住しない強い意志と覚悟を持って邁進いたします。

    [3]新中期経営計画の概要

    上記の2030年ビジョンを踏まえ、2019年3月期~2021年3月期を対象とした新中期経営計画を策定しました。この新中期経営計画の3カ年を「2030年ビジョン実現に向けた『確固たる基盤づくり』の期間」と位置づけております。

    • 1.将来を見据えた事業基盤の充実
      構造的な人手不足が深刻化するとともに、生産・物流のありかたを一変させる技術革新が急速に進展する中で、将来を見据えた事業基盤の充実は喫緊の課題と認識しています。当社グループにとって最も重要な経営資源である人材の採用・育成活動のさらなる強化に取り組むほか、システム分野への投資などを通じて、生産性の向上に向けた取り組みも積極的に展開してまいります。
      また、当社グループがお客さまに提供する価値の中でも特に重要な要素である安全衛生・品質管理に関しても妥協なくさらなる向上を追求します。安全衛生・品質管理に関する事項を統轄する経営品質本部長は食品プロダクツ本部副本部長と兼任するなど、営業現場と本社が同じ目線でより一体となって取り組みを進められるよう組織体制を見直しました。
    • 2.経営基盤の再構築
      2030年ビジョンに向けた企業経営を促進するための仕組みを導入し、経営基盤を再構築してまいります。成長と収益性の双方をバランスよく改善するためにコーポレートガバナンスの強化を図ります。業務執行については一段の権限委譲を図ることにより、現場に近いところでの迅速な意思決定を促進します。一方で、取締役会や経営トップによる経営監督機能も強化してまいります。当社グループの各事業の運営状況を様々な観点から見える化し、多面的に事業実態を把握する目的から、管理会計の再整備にも取り組み、効果的かつ効率的なモニタリングの仕組みを構築します。
    • 3.資本コストをさらに意識した経営への取り組み
      これまで当社グループは、既存事業及びその周辺事業の深掘りを成長戦略の基本として捉え、売上高・利益の拡大を推進してまいりました。こうした戦略は、効率的な資本の活用という面で課題を抱えることも多く、結果として「量の追求」に向かいやすい側面があったことは否めません。こうした反省から、新中期経営計画では資本コストを意識した経営と事業ポートフォリオの見直しに取り組みます。具体的には、ROIC(投下資本利益率)を重要な経営指標として採用し、資本効率の観点から客観的に各事業の経営状況を把握することで、適切な資源配分と再配置を進めます。
    • 4.部門の垣根を越えた成長の促進
      お客さまに当社グループを選び続けて頂くには、各事業単位で完結するサービスに終始するのではなく、当社グループ全体でお客さまにソリューションを提供することが今後ますます重要になると認識しております。そこで、当社グループ内での連携をさらに強化すべく、営業本部を新設しました。営業本部のもとで、事業本部間で戦略を共有し、部門の垣根に囚われず当社グループ内の経営資源等を活用し、当社グループとしてのアウトプット最適化を図ります。
    • 5.新たな中核事業の発掘・育成と価値革新への取り組み
      新事業開発本部の主導のもと、2030年ビジョンの実現に不可欠な「新たな中核事業の発掘・育成」を進めてまいります。お客さまの生産プロセスやバリューチェーンに深く入り込み、請負サービス、物流サービスなど様々なサービスを組み合わせて提供する当社グループ独特のビジネスモデルは、業種や地域を問わず、さらなる成長の可能性を有していると考えております。当社グループの強みを生かした新事業の発掘・育成に取り組み、その実現には事業提携やM&Aの活用等も含めて検討いたします。

    そして、新たな成長のためには、既存事業、新事業とも、お客さまに最良・最適なソリューションをお届けできるように現場やサービスの見直しを行うことが不可欠です。ロボット技術などの新技術の業務への取り込みを行いつつ、高いスキルを持つ人材の育成を行い、新技術と高スキル人材のそれぞれの強みが生かせる新しい形の現場やサービスの開発に取り組み、価値の革新を図ります。

    これらの取り組みを通じて、新中期経営計画の最終年度に当たる2021年3月期には、2030年ビジョンの実現に向けた基盤作りを完了するとともに、その基盤のもとで、過去最高益となる営業利益118億円を目指します。

    新中期経営計画 定量目標
    2018年3月期
    (実績)
    2019年3月期
    (予想)
    2021年3月期
    (計画)
    売上高 2,767億円 2,848億円 2,950億円
    営業利益 110億円 100億円 118億円
    ROE 7.4% - 7.0%

    4.事業上及び財務上の対処すべき課題

    [1]「安全」と「品質」最優先の業務運営の徹底

    特に複合ソリューション事業においては、顧客の生産工程における請負業務が中心となっておりますので、当該事業での安全・品質の不備は当社のみならず顧客の社会的な信用の失墜に繋がる事項であると認識しております。そのため当社グループでは、業務遂行上の安全性の向上ならびに製・商品の品質管理を徹底することが、事業遂行上重要と判断し、安全品質研修センターならびに鴻池テクノ研修センターでの研修活動等を通じて強化を図っております。今後も、安全・品質につきましては社内チェック体制の充実を図り、更なる向上を目指してまいります。

    [2]国内事業基盤の拡充と海外事業展開の推進

    当社グループの現在の事業基盤は国内企業からの業務受託が中心となっております。主要顧客の中には当社の創業・設立初期より半世紀以上にも亘って継続的に業務を受託している顧客もございます。そのため今後につきましても、現在の主要取引を中心に、国内企業の生産工程支援や物流業務を更に拡充させていくことが、当社事業の経営基盤を堅実なものとするために重要であると認識しております。
    一方で今後の世界的な経済動向を鑑みますと、新興国が消費市場として台頭してきており、国内事業を通じて培ったノウハウを海外に展開する機会が到来していると認識しております。そのため当社グループにおきましても、国内企業の海外ビジネス展開のサポートや海外企業に対するソリューション提供により一層注力するため、海外子会社の新設等を進めてまいります。

    [3]グループ経営管理体制の強化

    当社グループは、関係会社67社(うち連結子会社41社)で形成されており、また当社単体でも約140箇所の営業所を有しております。そのため、営業所及び営業所を統括する支店・関係会社(以下、支店・関係会社等)から当社本部機能への報告ならびに当社本部機能からの指示が円滑になされることが、グループ経営を効率的かつ有効に進める上で必要と考えております。現在においても、支店・関係会社等の状況については、社内の各種報告・会議等を通して円滑な情報交換等がなされていると認識しておりますが、今後も更に管理体制を強化させるべく、本部機能の充実を実施してまいります。

    [4]組織的営業力の強化

    当社グループでは、当社ならびに当社関係会社がそれぞれ顧客の所在地や業務内容を踏まえた営業活動を推進しております。今後の当社グループの成長のためには、当社事業本部と支店・関係会社等との連携を強化し、顧客ニーズに合ったソリューションを提案することで、収益機会を逃さないことが必要であると認識しております。そのため、今後も事業本部と支店・関係会社等との情報共有に努め、当社グループとしての組織的な営業活動を推進してまいります。

    [5]人材の確保・育成・適正配置

    当社グループの業務遂行にあたっては、顧客の業種や製・商品特性によっては専門的な知見が必要となってまいります。そのため、必要な人材の確保ならびに育成は業務遂行上重要なものと認識しております。必要に応じ、採用活動ならびにグループ内の研修を通じたノウハウの伝達等によって人材の確保・育成に努めてまいります。
    また、業務を効率的に推進する上では当社グループの人材の特性等を考慮し適切に配置することも重要と考えております。特に、各営業所における勤務時間の状況や個々人の業務に対する知見等を勘案し、機動的な対応をとることで、効率的な配置を行ってまいります。

    [6]コンプライアンスの充実

    当社グループが継続して顧客から業務を委託されるためには、社会的な信用を高める必要があると考えております。そのためには上記の安全・品質のみならず、コンプライアンスの充実が重要であると認識しております。そのため今後につきましても、当社業務遂行上必要な法律等の知識について、研修等を通じてグループ内で共有するとともに、その遵守状況を内部監査等でチェックし、体制強化に取り組んでまいります。