経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.会社の経営の基本方針

当社グループが2030年、さらに将来にわたり、革新を続け、持続的成長を果たすために、グループ共通のKONOIKEブランド「私たちのブランド」を2018年5月に策定しました。「私たちのブランド」では、当社グループが目指すべき姿、存在意義を表す企業理念を「私たちの使命:人と絆を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」と定め、その使命を果たすことを皆様にお約束するために、ブランドメッセージ「私たちの約束:期待を超えなければ、仕事ではない」を、また、「私たちの約束」を具現化するため、全従業員の行動指針として「私たちの覚悟」を定めております。

行動指針

2.経営環境及び「2030年ビジョン」

2021年3月期は、コロナ(COVID-19)の世界的拡大により経済活動が大きく停滞し景況感が急速に悪化いたしました。若干の持ち直しの動きも見られますが、当社グループでは、影響が顕著である空港関連において、今後も厳しい状況が続くものと考えられます。加えて、鉄鋼関連においては、中長期的には脱炭素等、鉄鋼業界を取り巻く環境の変化もあり、当社グループにおいても影響は避けられないものと認識しております。
そのような中、当社グループでは、中長期的に対処すべき経営環境の変化として、国内生産年齢人口の減少による「人手不足の深刻化」とデジタル・トランスフォーメーション(DX)等、「技術革新の進展」を重要な課題と認識しております。コロナの感染拡大は、「技術革新の進展」をより一層早めるものと考えており、すでに新たな生活様式として一部顕在化していると感じております。このような経営環境の変化は、長期的に当社グループの事業の前提を大きく変容させる可能性がありますが、これを脅威としてではなく、いかに機会として捉え取り組んでいくかが重要であると考えております。
「人手不足の深刻化」に関しては、足元ではコロナの影響を吸収するためグループ内で人材の相互活用を積極的に進めており、現在、大きな影響は出ておりませんが、中長期的には生産性の向上等によって根本的な解決を図る必要があります。具体的には「技術革新の進展」への対応、DX推進、様々な新技術の導入による業務の改善・革新です。
創業150周年となる2030年、さらに将来に向けて当社グループがお客様や社会から信頼され、選ばれ続けていくためには、中長期的な経営環境の変化に対応し、企業理念の実現を追求していくことが求められます。この道筋を明確にするため、2018年5月に、目指すべき経営の姿「2030年ビジョン」を定めました。

2030年ビジョン[2030年定量目標]
事業ポートフォリオ 10事業本部以上をめざし事業の多角化
売上高 3,500億円~5,000億円
売上高比率 物流:サービス(※) 40:60
国内:海外 80:20
営業利益率 5%以上
ROE 10%以上
  • (※)サービス:複合ソリューション事業における請負業務、エンジニアリング業務など、純粋な物流業務以外の業務

3.2022年3月期方針と対処すべき課題

2021年3月期は、中期経営計画「確固たる基盤づくり」の最終年度でしたが、基盤の強化が一定程度進んだ一方で、営業利益率の低下が続いており、利益率の改善が急務であると認識を新たにしております。本来であれば3か年の新中期経営計画を策定する予定でしたが、先行きが見通せない経済環境の下、利益率の改善に注力すべく、単年度の「2022年3月期方針」を策定し、下記の4項目を重点的に取り組んでまいります。

[1]利益率の改善

当社グループはこれまで成長性を重視し、経営指標のひとつとして、売上高を重視してまいりました。これにより売上高は増加したものの営業利益は減少し、結果として、営業利益率は大きく低下しました。今後は、付加価値の創出、顧客への貢献にこだわり、営業利益率を重視してまいります。これにより、収益性向上、経営体質強化の取り組みが、これまで以上に進むものと考えております。
また足元では「人材マッチング」と称して、空港関連や鉄鋼関連の人材のグループ内外への応援・出向を積極的に進めております。今後も厳しい状況が続く見通しであることに加え、他の事業においても環境変化に柔軟に対応するべく、この取り組みを一過性で終わらせることのないよう、人材流動化を継続的に進めてまいります。

[2]効率性の向上

持続的な発展のためには、限られた経営資源を効率的に活用することが不可欠です。当社グループは、資本効率の向上を図るため、ROICを活用し、資本コストを意識した経営に取り組んでおります。取り組みにあたっては、全事業を基盤事業、収益改善事業、成長事業の3つに分類し、各事業の位置づけ・課題を明確にいたしました。加えて経営環境の急激な変化に柔軟に対応することも必要と考えております。それぞれの位置づけに応じた戦略の立案・実行・見直しを進めるとともに、全社最適の観点から事業ポートフォリオの見直しを進めてまいります。そして、実効性を高めるため、資本コスト並びに投資回収に対する意識をさらに全社に徹底するとともに、投資方針の策定並びにモニタリング、事業運営の見直し、撤退判断等、資本効率向上の仕組みを見直してまいります。
また、「確固たる基盤づくり」において取り組みを続けてまいりました不採算事業の収益改善につきましては、WACC(加重平均資本コスト)を大きく下回りかつ原則収益改善事業に属する20拠点を重点改善拠点とし、策定した取組方針に基づき、2024年3月期を目標に収益構造の改善を図ってまいります。
加えて、管理部門においては、「小さな本社」の実現を目指し、2021年4月の本社組織の見直し、DX加速による、生産性の向上等の取り組みを進め、2024年3月までに効率的な運営体制を構築してまいります。

(当社グループの事業ポートフォリオマネジメント)
分野 課題
基盤事業 鉄鋼関連、食品関連、食品プロダクツ関連、生活関連 基盤事業の持続、フリーキャッシュ・フローの維持・向上
収益改善事業 物流関連、定温関連、メディカル関連、海外関連 ROIC思考の徹底、生産性の改善
成長事業 空港関連、環境・エンジニアリング関連、インド関連(メディカル、鉄道) 事業成長、M&Aの取り組み、海外展開

[3]競争力の強化

お客様の生産プロセスやバリューチェーンに深く入り込み、請負サービス・物流サービスなど様々なサービスを組み合わせて提供する当社グループ独自のビジネスモデルは、業種や地域を問わず、さらなる成長の可能性を有していると考えております。そして、新たな成長のために、当社グループが長年にわたり多種多様な現場で培ってきた豊富な知見やノウハウに、最先端の自動化技術を掛け合わせることにより“人と技術のハイブリッド”が創り出す持続可能な現場の実現とその水平展開を図ってまいります。
その一環として、2021年3月には「鴻池技術研究所イノベーションセンター」を開設。最新自動化機器の開発・導入実験や、国内外のスタートアップ企業が持つ先進技術の実証実験などを行うオープンイノベーション拠点とし、物流現場における技術革新の取り組みを加速してまいります。また、2021年4月には新事業開発管掌を技術革新管掌とし、「技術革新の進展」に対応すべく、危機感を持って取り組みを加速してまいります。

[4]部門を越えた連携

お客様に当社グループを選び続けていただくには、各本部内でサービスを完結するのではなく、部門の垣根を越えて、当社グループ全体でお客様にソリューションを提供することがますます重要になると認識しております。加えて、当社グループが有する経営資源の有効活用を図る上でも、部門の垣根を越えた施策が必要と考えております。その一環として、2021年4月より、営業企画部を発足いたしました。部門横断的組織として、経営戦略に基づく事業戦略の策定、事業ポートフォリオの見直しを推進してまいります。
また、当社グループの各事業は、顧客の業態等により業務内容が異なっており、かつ顧客のニーズに対応したアナログ業務も多く存在します。よって、DXの観点からは改善・変革の余地が大きいと考えております。まずはデジタル化を進めるうえで必要不可欠となる、業務の標準化に取り組むと同時に、応用力を高め、新たな領域への進出も見据えております。2021年2月には物流標準化の取り組みとして、各現場の物流システムの統合化・共通化に資する新統合物流システムを一部現場にて運用を開始し、今後グループ全体への導入を進めてまいります。

環境変化への対応が求められる中ではありますが、当社グループが目指すべき方向は、揺るがないものだと考えており、このような時こそ、改めて企業理念に立ち返り、社会と顧客のニーズを捉え、グループ一丸となって、社会課題の解決と、付加価値の高いサービスの創出に取り組んでいくことが重要だと考えております。
コロナ収束後に力強い成長を実現するため、この難局を構造改革の好機とし、厳しい環境下であっても業容の拡大と収益性の確保が両立できるよう経営体質を強化してまいります。