安全・品質

基本的な考え方

KONOIKEグループは、“「人」と「絆」を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します”という企業理念を掲げています。中でもお客さまとKONOIKEグループとの間をつなぐ「絆」としては、「安全と品質」が極めて重要であると考えています。
また、企業としての責務である業績向上はお客さまがKONOIKEグループの現場を信頼いただいているからこそ成り立つものであるため、KONOIKEグループでは、安全の確保と品質の維持向上と業績向上は三位一体と考えており、「信頼は品質が支え、品質は現場が支え、現場は安全が支える。」というスローガンを掲げて、全社での意識統一を図っています。
また、刻々と変化する環境や課題に対しては、年次経営品質方針の中で柔軟に対応することで、さらなる業務の安全性確保と、品質の向上に努めています。

[安全・品質・業績の三位一体]信頼は品質が支え、品質は現場が支え、現場は安全が支える。
安全品質体制

2022年 経営品質方針

  • 1. ヒヤリハット活動の定着拡大で潜在危険の洗い出しとリスク低減
  • 2. 定期教育による意識付け強化で安全意識の向上
  • 3. 対話(ダイアログ)による双方向コミュニケーションで現場実態の確認と改善
  • 4. 4M※15E※2分析でトラブルの原因究明と効果的な対策の実行
  • 5. 自ら考える安全活動の推進で現場力の向上
  • ※14M:人(Man)・機械(Machine)・作業環境(Media)・管理(Management)
  • ※25E:教育訓練(Education)・技術工学(Engineering)・指導徹底(Enforcement)・事例(Example)・環境(Environment)
目標 安全 休業度数率(本体・グループ会社) 0.29以下
労災度数率(本体・グループ会社) 2.00以下
協力会社休業災害 3件以下
交通 営業車両事故率(本体・グループ会社の自社車両) 0.19以下
業務連絡車、海外現法事故件数 3件以下
協力会社事故件数 3件以下
品質 重大品質事故(10万円以上) 29件以下

輸送の安全確保の取り組み

安全品質活動体系

KONOIKEグループの安全品質活動は、年初に発表する経営品質方針に基づき展開します。本社の経営品質方針に基づき、各営業所で、当該年の活動を実行計画書に落とし込んだ後、SDCAのサイクルを回して活動を進めていきます。その中で個別の課題が発生した場合は、解決するためのPDCAを回し、改善された手順が標準化された時点で、再度SDCAに戻り、活動を回す仕組みとなっています。また、上記の日常の安全活動とは別に、毎年本社経営品質本部と各経営品質専任者・担当者が一緒になり、個別課題に対する取り組みを展開しています。2022年3月期においても昨年に引き続き、ヒヤリハット活動の活性化をテーマに取り組みました。各経営品質専任者・担当者が管轄する事業所の中から、対象事業所を1つ選定し、ヒヤリハット活動を阻害する要因を4M5E分析した上で、どうすればヒヤリハット活動が活性化するかの対策を工程表に落とし込み、その工程表の進捗状況の確認を含め、本社経営品質本部と各経営品質専任者・担当者が合同でWeb会議を使用し、進捗確認を行う活動を展開しました。基本的に、安全品質活動は、各本部長の指揮命令のもと、支店長、各営業所長の順に展開する体制で進めていますが、各支店・関係会社に配置されている経営品質専任者・担当者が、経営品質本部からの個別サポートを受け、各営業所の活動支援を行っています。

労働安全衛生への取り組みについて

鴻池運輸は貨物自動車運送事業をはじめとした各種事業に取り組んでいます。当社の安全文化の基本理念であります輸送の安全確保と労働災害防止の維持向上を図るため、労働安全衛生マネジメントシステムを基本とした「安全品質運輸マネジメントシステム」を制定し、交通事故や労働災害の潜在的要因を除去または低減するとともに、従業員の安全確保と健康増進を目的とした取り組みを行っています。

安全品質運輸マネジメントシステム

KONOIKEグループでは、安全衛生・品質・運輸の各項目について、それぞれ確認ポイントを定め、各営業所の活動状況のチェックを行っています。この仕組みが安全品質運輸マネジメントシステムです。確認審査は、支店での確認を1回/年、本社での確認を1回/3年の頻度で実施しています。安全品質運輸マネジメントシステムでは、労働災害削減の観点から、小集団活動や指差呼称確認の状況、またリスクアセスメントなど現場第一線の活動系の審査に重点を置くとともに、労働安全衛生法が要求する安全管理体制の確立についても確認を行っています。また、審査認定の基準を3段階に分け、各事業所の安全活動レベルを見える化しています。

1.輸送の安全に関する基本方針

  • 1. 経営トップは輸送の安全確保が事業運営の根幹であることを認識するとともに、輸送の安全確保に主導的役割を果たす。
  • 2. 経営トップは社員に対し、輸送の安全確保が最も重要であるという認識を徹底させる。
  • 3. 輸送の安全に関する計画の作成、実行、チェック、改善(PDCA)を確実に実施し、全社一丸となって、輸送の安全性向上に取り組む。
  • 4. 輸送の安全に関する取り組みについての情報を公開する。

2.重点施策

  • 1. 輸送の安全確保が最も重要であるという認識の徹底と、関係法令および社内規定の遵守。
  • 2. 輸送の安全確保に有効な施設、設備への投資に努める。
  • 3. 輸送の安全確保に関する内部監査の実施と必要な是正措置を講じる。
  • 4. 輸送の安全確保に関する情報連絡体制の確立と、社内における情報の共有化を図る。
  • 5. 輸送の安全確保に関する教育、研修の実施。
  • 6. 継続的に契約している協力会社への安全教育研修の実施。

3.目標

「安全品質運輸マネジメントシステム」の的確な運用により、自車での加害及び自損事故「ゼロ」を目指すこととしております。自動車事故の状況は以下の通りです。

自動車交通事故目標および実績件数
年度 2023年3月期(4月~3月) 備考
前年 0.25 数値は事故率。
(1,000,000km走行あたりの事故率)
計算式:(加害事故件数+自損事故件数+被害事故過失あり)÷延べ走行距離×1,000,000km
実績 0.27
2023年3月期の実績内訳(KONOIKEグループ総数)
  • 加害事故 8件
  • 自損事故 8件
  • 被害事故過失あり 4件
    (内自動車事故報告規程第2条に基づく事故) 0件
  • 2023年3月期において、輸送の安全確保命令、事業改善命令、自動車その他の輸送施設の使用停止処分、事業停止処分はありません。

4.輸送の安全に関する設備などの導入

  • 1. LEDによる昼間点灯補助装置を全車に装着済みです。
  • 2. 運行記録計、ドライブレコーダーは全車に導入済みです。(尚ドライブレコーダーについては、2023年3月迄に順次AI搭載型に切り替えます。)
  • 3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を早期に発見するため、2008年度から全運転者が2年に1回継続的に診断する体制を採っています。
    居眠防止、漫然運転、健康起因による事故防止対策として、スリープバスター(居眠防止対策器具)、眠りスキャン(睡眠状態の状況の把握)また、モービルアイ(漫然運転・居眠対応)などの機器を活用し、事故防止対策に取り組んでいます。
  • 4. 適性診断
    (独)自動車事故対策機構が開発したNASVAネットを、千葉・埼玉・群馬・茨城・神奈川・愛知・大阪・和歌山・熊本の事業所に計16台設置し、運転手の適性診断を実施しています。
  • 5. ドライバー教育の教材として動画KYT(※注1)を導入し、各事業所において講習会を実施しています。
    • ※注1交通状況を動画で見ながら危険感受性(運転レベルと判断力のレベル)の向上を高める新タイプの危険予測教育機器です。

適性診断受診風景

輸送の安全に関する内部監査およびその結果

  • 1. 2023年3月期は23事業所の監査を実施。
    輸送の安全に関する内部監査の結果および改善措置の主な内容については、以下の通りです。
    • 安全品質運輸マネジメントシステムが適切かつ、継続的に維持、適用されているか、その効果についての確認を行う。
      監査全般の所見
      事故防止に向け、適正な運行管理者業務に継続して取組むこと。
      重点監査事項の所見
      計画的に実施している。

安全品質運輸マネジメントシステム評価

  • 1. 取組状況
    • 各事業所の安全活動取組状況の監査を実施して進捗状況を把握。
    • 安全品質運輸マネジメントシステムの運用により全事業所が法令遵守状況を自主評価し、評価に対して確認ならびに指導を実施し、再評価し適正な事業運営を支援していく。
    • 本社において、進捗状況報告会議。
    • 国土交通省等の主催する安全品質運輸マネジメントセミナーや安全に関する講演会へ積極的に参加し、情報収集に取り組んでおります。
    • 支店等からの事故情報を安全品質部において内容を分析し、事故を深刻度評価にしてランク付けを行い、社員にわかりやすく情報が伝わるよう改善し、また、情報のデータを分類して活用できる仕組みにしました。

以上のPDCAを回した取組継続により、2013年8月より国土交通省「安全品質運輸マネジメント評価」は実施されておりません。

中央安全衛生委員会

毎年2回、労使による中央安全衛生委員会を開催しています。会社側からは各事業本部長、支店長など32名、組合側は執行委員長を筆頭に18名、合計50名が参加しています。2022年3月期については、第1回を2021年6月、第2回を2021年12月に開催いたしました。年度前半に行われる第1回のテーマは、主に前年度の安全成績と事故の傾向、および今後の課題と取り組みについて討議します。また、関係法令の改正情報や前年度の労働組合の活動状況についても共有します。年度後半の第2回は、上期の安全成績と事故の傾向、および今後の課題と取り組みを協議するとともに、次年度の経営品質方針について討議、決定します。加えて関係法令の改正情報や上期の労働組合の活動状況についても共有しています。

事故防止のための取り組み

1.「安全性優良事業所」の認定取得

2003年度から始まりました「安全性優良事業所」認定制度(Gマーク)については、当初から認定取得に積極的に取り組んでいます。
2023年4月現在において、トラック事業所全体の95.2%(59事業所)が認定を受けています。

2.デジタコデータ活用による安全指導

  • 1. 速度超過防止に対する注意喚起
  • 2. 急加速・急減速防止に対する注意喚起
  • 3. 連続運転防止に対する注意喚起

3.ドライブレコーダー装着による運転席の状況

ドライブレコーダーは、車両進行方向(前方)と運転席内を常時撮影しています。
現在、従来型のドライブレコーダーからAI搭載型のドライブレコーダーへの切り替えを進めています。このドライブレコーダーへの切り替えにより、AIがドライバーのわき見、3急運転(急ブレーキ、急加速、急ハンドル)などを検知すると、車内での警告音でドライバーに注意喚起を行うだけでなく、管理者に対しても危険運転の動画や画像を、通信を介して即座に通知する機能を搭載しています。また、警告の頻度やタイミングなどから、ドライバーごとの安全運転スコアが算出されるため、より効果的で適切な日常の安全運転指導が可能となり、交通事故・トラブルの未然防止が期待できます。

4.安全体感教育

個人の安全意識向上を目的に2020年3月期より安全体感教育を実施しています。本教育では実機を使った挟まれ体験や、ミス防止に役立つ指差呼称の体験の他、VR(バーチャルリアリティ)を使った転倒災害体験、フォークリフトとの擬似接触体験等を実施しました。VR研修は特に経験の浅い若年層と事故率の高い高齢層に対し、より現実的な事象を通じて、意識向上を図る目的で開始しました。また、業務で忙しい従業員に向けて、各事業所へ機材を持って出張する、出張体感教育も実施しました。

安全体感教育受講者数
2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
133名 961名 668名

5.指導教育研修

2022年10月にKONOIKEグループトラックドライバーコンテストを中部トラック総合研修センターにおいて2日間にわたり実施しました。3年ぶりの開催に各事業所代表のドライバーが中型車、大型車、トレーラ各部門に計18名が参加し学科試験、点検競技、省エネ運転競技、実技競技の合計点で順位を競いました。また、当日ディーラー様、愛知県トラック協会様のご協力により競技内容に即した講習会も実施されました。

従業員の健康のための取り組み

ストレスチェックの実施とメンタルヘルスケア

KONOIKEグループでは法定要件に沿って、ストレスチェックを行っています。ストレスチェックの結果、申し出があった場合は産業医との面談を実施し、改善に努めています。また、メンタルヘルスについては各営業所にメンタルヘルス検定ラインコースを取得した従業員2名を窓口として配置し、従業員に対する細かなケアができる体制を構築しています。

労働安全衛生に係る取締役会の監督

四半期に一度、取締役会において労働安全衛生に係る事項を報告しています。労働災害については、発生件数、被災者の経験年数、労働災害の種別などに分けて分析し、当該四半期の労働災害傾向やその傾向を踏まえた次四半期の取り組みを報告しています。自動車事故についても、発生件数、加害・被害の種別、営業車両・業務連絡車の種別、自車・傭車の種別などに分けて分析し、当該四半期の発生傾向を踏まえて、次四半期の取り組み事項を報告しています。また品質事故についても同様の報告を行っています。

労働災害に関するデータ(KONOIKEグループ計)

労災度数率・休業度数率
労災度数率
全産業平均 運輸業平均
2.09 3.31

(2021年 厚生労働省公表データ)

  • 労災度数率:労働災害死傷者数÷延べ労働時間×1,000,000時間
    労働時間の把握ができない従業員の労働災害は除外(協力会社社員、派遣会社社員、海外現地法人従業員)
  • 休業度数率:労働災害による休業者数÷延べ労働時間×1,000,000時間
    労働時間の把握ができない従業員の労働災害は除外(協力会社社員、派遣会社社員、海外現地法人従業員)

環境への対応と輸送の安全確保

輸送に係る環境の取り組みにつきましては、「環境への取り組み」のページに掲載しています。

その他の情報公開事項

研修の充実とコンプライアンスの徹底

全社員の安全および法令遵守に対する意識向上のため階層別研修の実施および鴻池運輸と関係会社を含めた安全教育研修に取り組んでいます。
さらに、理解度を図るためテスト制度を採り入れ、知識習得の向上に取り組んでいます。

安全統括管理者に関する情報

安全統括管理者の選任

経営品質本部長を安全統括管理者として選任しています。

安全統括管理者の責務

全社員に対し、関係法令などの遵守と輸送の安全の確保が最も重要であることの意識を徹底させ、輸送の安全に関し重点施策などの実施および管理体制の確立、維持、経営トップに対し意見を述べるなどにより必要な改善措置を講じて、輸送の安全に関する統括管理を行っていきます。

品質に対する取り組み

お客さま満足への取り組み

品質はお客さまとの信頼関係をつくる非常に大切な要素であり、K-QMS(コウノイケ クオリティ マネジメントシステム)活動を展開しています。
お客さま訪問によるヒアリング、お客さまコミュニケーションの中から、お客さまのニーズを探り出し、年初目標を定めるとともに、安全品質運輸マネジメントシステムの中で進捗を確認しています。また、トラブル発生時には、当該事業所で是正措置、予防措置を行った後、社内イントラで全社に伝達・共有し、同様のトラブルの再発防止を行うシステムとなっています。

内部監査員の養成

K-QMS活動では営業所間相互で内部監査を行っています。内部監査の目的は、定めたK-QMSが得意先要求や法規制に適合して構築されているか、その効果はどうか、などといった観点から制度の運用状況を確認することです。内部監査を実施するにあたってはその知識を持った内部監査員の育成が重要となり、年4回程度、本社安全品質部主催の内部監査員養成研修を実施しています。

安全品質活動発表会

毎年4月に全社安全品質活動発表会を開催しています。これは、前年度の活動の中から優れた活動を発表いただき、取り組み内容を全社員で共有する制度です。全国約200の事業所が各支店・関係会社内で予選会を行い、そこで勝ち抜いた事業所が各事業本部内の大会に進み、そこでさらに勝ち抜いた事業所が全社大会に進みます。2022年3月期は安全に関するものが3テーマ、品質に関するものが3テーマ、生産性向上に関するものが2テーマ、合計8グループの発表が行われました。

社内表彰制度

安全・交通・品質に関して優れた功績をあげた事業所・個人および優秀な活動を行った事業所に対しては、毎年5月の会社創立記念日に、表彰する制度を設けています。2022年3月期については、安全部門で14件、交通部門で50件、品質部門で12件の事業所・個人が表彰されました。

取引先との活動

取引先との共同活動

業務遂行にあたっては、パートナー企業さまとの協業が欠かせません。安全・品質の向上について、想いを一つにするために、積極的なコミュニケーションを図っています。
各営業所では、パートナー企業さまとの協議会を設けたり、同じテーマで安全活動を行ったりするなど、工夫をしながら一体的な活動を行っています。また、年に1回パートナー企業さまを訪問し、安全活動や品質活動、遵法の状況について情報を共有し、お互いのレベルアップを図っています。

取引先訪問

年に1回パートナー企業さまを訪問し、安全活動や品質活動、遵法の状況について情報を共有し、お互いのレベルアップを図っています。その際に「協力会社管理体制評価表」に基づき、トラック輸送事業各社さまについては、経営方針、事業計画、運行管理やドライバー、車両の管理状況、安全活動などについて確認させていただいています。また、構内請負、派遣のパートナー企業さまにつきましては、法的常備書類や各種保険加入状況、雇用契約に加え、安全衛生活動状況などの確認をさせていただいています。2022年3月期はパートナー企業さま370社の訪問をしました。

地域社会との活動

児童登下校時の見守り活動

小学校の近隣に所在する営業所では、児童の登下校時の見守り活動を実施しています。小学生の登下校の時間に合わせて従業員が通学路に立ち、横断歩道横断のサポートや声かけを行っています。トラックを使用する物流企業として、地元警察・自治体・小学校と連携し、児童の安全確保に日々努めています。

トラック乗車体験会の開催

交通事故の撲滅を願い、2019年より各地で子どもを対象としたトラック乗車体験会を開催しています。子どもたちに運転席に座ってもらい車内の様子を見てもらうと同時に、運転席からの死角を実際に目で見て確認してもらっています。また、併せて交通安全教室も実施し、トラックの内輪差やスピードと制動距離の関係などを説明しています。

KONOIKEグループ統合報告書2022をご覧ください。