ミュンヘン工科大学ビジネススクールにて鴻池運輸・専務の鴻池が登壇｜KONOIKEジャーナル

　こんにちは。KONOIKEグループです。

　鴻池運輸（株）（以下、鴻池運輸）取締役専務執行役員鴻池忠嗣が、11月8日にミュンヘン工科大学ビジネススクール” Unternehmer TUM”にて、「KONOIKEグループにおける技術革新」というテーマで講演を行いました。講演の様子と内容をご紹介いたします。

鴻池運輸取締役専務執行役員国際統括担当兼技術革新担当　鴻池忠嗣

2006年に株式会社三井住友銀行入行、上海駐在を経て、2013年に当社入社。経営企画本部部長、執行役員、常務執行役員、取締役兼常務執行役員、取締役兼専務執行役員を歴任し、2022年から取締役専務執行役員、国際統括担当兼技術革新担当を務める。現在、社内の技術革新、「第四次産業革命（インダストリー4.0）」の先進国・ドイツで新ビジネスモデル創出とグループの国際化をリードする。

■ドイツのビジネススクールで鴻池運輸・専務の鴻池が登壇

　ミュンヘン工科大学ビジネススクールが提供する教育コース” Unternehmer TUM”では、起業家や研究者をはじめ、広くイノベーションに興味をもつ人々が学んでいます。今回、ドイツを拠点にKONOIKEグループの新ビジネス創出と国際化に取り組む鴻池専務がゲスト講師として登壇しました。

　講演では「KONOIKEグループにおける技術革新」をテーマに、自らが2018年に着手した新事業開発の失敗から、コロナ禍を経て、グループの技術革新を推進する中で得た成果や今後の展開について話しました。3PLに留まらないKONOIKEグループのビジネスモデルや、現場の具体的なDX導入事例を紹介する中で、聴講生からも活発な質疑応答が寄せられました。

鴻池専務は2018年からグループの新事業開発を牽引

グループ共通の挨拶「ご安全に！（Glück auf!）」発祥の地・ドイツで、
さらなる技術革新に向けて奮闘中

　私は災害を徹底的になくし、安全な現場を実現したいと心から思っています。そのためには、従来の安全教育だけでなく、技術の力が必要です。例えば、自社トラックにはAIによる事故防止システムを車両に搭載し、事故件数の減少を目指しています。また、自動フォークリフト導入により、人が接触するリスクも減少しました。「技術資本ライブラリー」というシステムを使って、こういった事例を600件以上登録し、成功事例を社内で共有しています。

国内の物流倉庫等で自動フォークリフトを導入

求められるのは、第四次産業革命（インダストリー4.0）による「最適化」

　現場の自動化を進める上で気づいたことは、人をロボットに置き換える自動化だけでは自動化機器は動作スピードが人よりも遅くなるケースも多いため、生産性が落ちるということです。また、一度自動化してしまうと、設備が固定化してしまい、現場を安易に改善するのは容易ではありません。こういった「自動化」は第三次産業革命の取り組みであり、これから取り組むべきなのは、デジタルツインに代表される「最適化」の取り組み――第四次産業革命（インダストリー4.0）であることに気付きました。この分野で世界の先を行くドイツに学び、グループの技術革新に生かすため、私はドイツを拠点に日々奮闘しています。
　実際に、現在KONOIKEグループでは、一部の物流倉庫などでシミュレーションを活用した現場効率化を実施し、現場の最適化に取り組んでいます。

国内の物流倉庫にシミュレーションを導入し、「最適化」を目指す

雇用を守るために変革に取り組む

　鴻池運輸は1880年に創業後、1900年に鉄鋼事業を開始しました。その頃、日本は第二次産業革命を迎えていました。食品事業を開始した1951年当時は、第三次産業革命の自動化が進められていた時代でした。今日私たちは第四次産業革命（インダストリー4.0）の時代を迎えています。
　鴻池運輸が144年以上存続できているのは、先人の方々が時代の変化に合わせて対応してきたからです。鴻池運輸の従業員の雇用を守るため、私たちの世代が、再度この変革に必死で取り組まなければなりません。

1900年に鋳鋼所での工場内請負業務を開始

技術革新で、収益や現場の労働環境の改善に寄与

　ドローンをはじめとする技術革新の取り組みは利益率向上や深耕化のみならず、人手不足対応や労働環境改善、安全性向上にもつながりました。業績面で見ると、こういった取り組みを積極的に行った現場では、過去10年で売上・損益の絶対額も大幅に増え、利益率も数倍に増加しています。

製鉄所の現場では、ドローンを活用した新たなビジネスに取り組む

四面楚歌から始まった、技術革新の取り組み

　これまでの道のりは平坦ではありませんでした。2018年に技術革新の取り組みを始めた当初は、まさに四面楚歌の状態でした。しかし、私の思いを伝え続け、それを信じて応援いただいた方々のおかげで、ようやく実績が出てきました。まさに「二歩進んで一歩下がる」状況でしたが、着実に前に進んでいます。強い思いで変革に取り組めば、必ず応援してくれる方々がいて、いずれ道は開けると考えています。私がドイツに来てから、多くの方々に助けていただきました。いくら感謝しても感謝しきれません。
　鴻池運輸は2030年ビジョンに「技術で、人が、高みを目指す」を掲げています。人と技術の融合により、お客さまや社会に価値あるサービスを提供することはもちろん、従業員にとってもより安全で働きやすい現場になることを目指して、技術革新に取り組んでまいります。