貿易協定とは?貿易協定の種類と日本の主な協定をわかりやすく解説
国際物流
グローバル化が進む現代において、企業の活動は国内だけで完結するものではなくなってきました。特に、資源や原材料などで海外に大きく依存する日本では、国境を越えた取引を行うことが当たり前となっています。
こうした国際取引を促進するものとして重要な役割を果たしているのが「貿易協定」です。貿易協定には「自由貿易協定(FTA)」や「経済連携協定(EPA)」などがあり、関税の引き下げや投資の自由化などを通じて、国際取引を行う企業の負担軽減などが図られます。
日本の場合、24の国・地域と21のFTA/EPAを締結済みであり、世界中の主要貿易相手国を対象としています。したがって、輸出入を行う企業にとっては貿易協定に関する理解は避けて通れないといえるでしょう。
今回は、貿易協定の基本的な考え方から種類、そして日本が締結している主な貿易協定について解説します。
参照元:我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組(外務省)
こうした国際取引を促進するものとして重要な役割を果たしているのが「貿易協定」です。貿易協定には「自由貿易協定(FTA)」や「経済連携協定(EPA)」などがあり、関税の引き下げや投資の自由化などを通じて、国際取引を行う企業の負担軽減などが図られます。
日本の場合、24の国・地域と21のFTA/EPAを締結済みであり、世界中の主要貿易相手国を対象としています。したがって、輸出入を行う企業にとっては貿易協定に関する理解は避けて通れないといえるでしょう。
今回は、貿易協定の基本的な考え方から種類、そして日本が締結している主な貿易協定について解説します。
参照元:我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組(外務省)
貿易協定とは何か?
※写真の船舶は鴻池運輸が保有する "KIZUNA 21(きずな21) "です。日台間でライナーサービス(定期運航)を実施しており、コンテナに入りきらない貨物を運ぶことができます。
貿易協定の基本を知るためには、定義と目的、メリットとデメリット、そして貿易協定が盛んに推進される背景について理解することが重要です。ここでは、それらについて解説します。
また、その目的は経済活動の活性化にあります。関税や輸出入規制といった貿易障壁を見直すことで、輸出入を行う企業は海外市場にアクセスしやすくなります。また、知的財産権が保護されることで、国際取引のリスクが低減され、安心して国際投資を行えるようになります。
過去にも、外国製農産品の輸入拡大に対して日本国内の農林水産業従事者から強い反発があったことがあります。そのため、特定の品目を除外したり、段階的な緩和措置を設けたりするなど、貿易協定の負の影響を和らげる措置が取られることがあります。
そのため、各国では、より機動的な交渉を行うために二国間協定や多国間協定などを選択するようになっています。各国は相手国との幅広い経済関係の強化や自国企業の競争優位性の構築を目指して、積極的に重要な貿易相手国との貿易協定の締結を図っています。
貿易協定の基本を知るためには、定義と目的、メリットとデメリット、そして貿易協定が盛んに推進される背景について理解することが重要です。ここでは、それらについて解説します。
定義と目的
貿易協定とは、国家間もしくは複数の国家・地域の間で締結される、貿易や投資の自由化・円滑化に関する取り決めのことを指します。具体的には関税の引き下げや輸出入規制の緩和、非関税障壁の撤廃や知的財産権および投資の保護などが対象となります。また、その目的は経済活動の活性化にあります。関税や輸出入規制といった貿易障壁を見直すことで、輸出入を行う企業は海外市場にアクセスしやすくなります。また、知的財産権が保護されることで、国際取引のリスクが低減され、安心して国際投資を行えるようになります。
メリットとデメリット
貿易協定には、さまざまなメリットとデメリットがあります。メリット
メリットとしては、関税の低減・撤廃による輸入コストの低下や海外進出リスクの軽減が挙げられます。輸入品を取り扱う企業や消費者には商品に含まれる関税コストの低下、そして知的財産権保護や投資ルールの整備は輸出企業の活動の安定化につながります。デメリット
一方で、デメリットとしては、特定産業や特定地域への負の影響が挙げられます。海外から安価な製品が流入することで国内産業が不利になり、撤退する企業も出てきます。その産業に依存する地域では、地域全体が影響を受け、構造的な不況に陥る可能性もあります。過去にも、外国製農産品の輸入拡大に対して日本国内の農林水産業従事者から強い反発があったことがあります。そのため、特定の品目を除外したり、段階的な緩和措置を設けたりするなど、貿易協定の負の影響を和らげる措置が取られることがあります。
貿易協定の締結が盛んに推進される背景
第二次世界大戦後、国際社会ではGATT(関税及び貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機関)を中心に貿易の自由化が推進されました。しかしながら、現在では各国の利害対立が激しくなり、世界全体での国際貿易のルール作りは難航するようになっています。そのため、各国では、より機動的な交渉を行うために二国間協定や多国間協定などを選択するようになっています。各国は相手国との幅広い経済関係の強化や自国企業の競争優位性の構築を目指して、積極的に重要な貿易相手国との貿易協定の締結を図っています。
貿易協定の種類
貿易協定にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)、そして二国間協定と多国間協定の違いについて解説します。
FTAは、交渉範囲が比較的シンプルであるため、締結までのハードルが低く、迅速に貿易自由化を進めやすいという特徴があります。自由貿易協定は、関税削減を通じて輸出入企業の価格競争力の向上に貢献します。
なお、世界の中には、さまざまな国・地域と積極的にFTAを結ぶことで外国の投資を呼び込むことを明確に意識した戦略を取る国もあります。例えば、韓国などはEUや米国などとFTAを結んでおり、「FTAハブ」として貿易上の重要な地位を築くことを志向しています。
日本は、FTAよりもEPAを推進している傾向にあります。また、世界的にも、近年の貿易協定では伝統的な関税の削減・撤廃に限定されない、多分野での連携強化を目指したものが多く見受けられるなど、EPAは貿易協定の中心的な存在になっているといえます。
なお、EPAでは、輸出品がEPAに基づく原産資格を満たしていることを証明することで、輸入国の税関において通常の関税率よりも有利なEPA税率の適用を受けることができます。
詳しくは後述しますが、それぞれの例としては次のものなどが挙げられます。
二国間協定
多国間協定
自由貿易協定(FTA)
自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)は、特定の国や地域との間で、物品の関税や数量制限などの貿易障壁を削減・撤廃することを目的とした協定です。内容によってはサービス貿易も対象となることがあります。FTAは、交渉範囲が比較的シンプルであるため、締結までのハードルが低く、迅速に貿易自由化を進めやすいという特徴があります。自由貿易協定は、関税削減を通じて輸出入企業の価格競争力の向上に貢献します。
なお、世界の中には、さまざまな国・地域と積極的にFTAを結ぶことで外国の投資を呼び込むことを明確に意識した戦略を取る国もあります。例えば、韓国などはEUや米国などとFTAを結んでおり、「FTAハブ」として貿易上の重要な地位を築くことを志向しています。
経済連携協定(EPA)
経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)は、貿易の自由化に加えて、より広範囲の経済関係の強化を目的とした包括的な協定です。その中には、知的財産権や投資の保護、人の移動の自由化、競争政策におけるルール策定などが含まれます。日本は、FTAよりもEPAを推進している傾向にあります。また、世界的にも、近年の貿易協定では伝統的な関税の削減・撤廃に限定されない、多分野での連携強化を目指したものが多く見受けられるなど、EPAは貿易協定の中心的な存在になっているといえます。
なお、EPAでは、輸出品がEPAに基づく原産資格を満たしていることを証明することで、輸入国の税関において通常の関税率よりも有利なEPA税率の適用を受けることができます。
二国間協定と多国間協定の違い
貿易協定は、協定に参加する国・地域の数によって「二国間協定」と「多国間協定」に分けられます。二国間協定
2つの国・地域の間で結ばれる協定が「二国間協定」です。特定の相手国との貿易条件を個別に調整できることが特徴です。産業構造が補完的な関係にある国などが機動的に貿易協定を結ぶ場合に選択されます。多国間協定
一方、複数の国・地域の間で結ばれる協定が「多国間協定」です。複数の国・地域が関与するため、一般的に長期的な交渉が行われますが、貿易協定が締結されると広範な市場へのアクセスが可能になります。詳しくは後述しますが、それぞれの例としては次のものなどが挙げられます。
二国間協定
- 日・シンガポール経済連携協定
- 日米貿易協定・日米デジタル貿易協定
多国間協定
- 日・ASEAN包括的経済連携協定
- 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
日本が締結している主な貿易協定
2025年12月時点で、日本は20以上の貿易協定が発効・署名済みとなっています。ここでは、日本が締結している主な貿易協定について解説します。
この貿易協定では、域内貿易・投資の拡大や貿易制度の調和を図るとともに、二国間の包括的経済連携の推進が図られました。具体的には、市場アクセスの改善や金融サービスの改善などが進められ、例えば日本側では農林水産品(マンゴーやドリアンなど)の関税が即時または段階的に撤廃されました。他にも、シンガポール側では金融規制の緩和などが実現しています。
この貿易協定の発効後、日本とシンガポールの経済関係は深まり、日本のシンガポールとの物品の貿易は、2007年までに輸出が44.6%増、輸入が32.3%増となりました。他にもサービス貿易や対シンガポール直接投資残高も大きく増加しています。
参照元:日シンガポールEPA(経済産業省)
AJCEPの特徴として、「累積原産地規則」のルールが挙げられます。これは、複数の国・地域で行われた加工や原材料の使用を合算して「原産品」と認める仕組みであり、例えば日本の部品をタイで加工してマレーシアに輸出する場合、タイ原産品として扱われることになります。
したがって、従来は日本の部品を含むことでASEAN原産性を満たせずASEAN域内の自由貿易協定の恩恵を受けることができなかったとしても、この「累積原産地規則」が適用されることでASEAN原産性が満たされ、特恵税率の適用が可能になる場合が出てきます。
なお、日本はAJCEPの発効までに、マレーシアやタイなどのASEAN構成国とEPAを結んでいました。これらのEPAとAJCEPには法的な優先関係がないため、輸入通関の際は自社にとって有利な協定の関税率を適用することができます。
参照元:日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定について(経済産業省)
ただし、2017年1月にアメリカが離脱表明したため、改めてアメリカ以外の11か国でCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)が結ばれました。現在、CPTPPは2024年に加入したイギリスも含めて12か国で構成されています。
また、保護主義的傾向の世界的な傾向に対して自由で公正な「21世紀型のルール」を作る上での重要な第一歩として位置づけられており、米国や他のアジア太平洋諸国・地域に対するメッセージ性があることが謳われています。
このCPTPPでは、工業製品の大幅な関税撤廃(10か国全体で99.9%)に加えて、原産地規則の整理や電子商取引に関する規定の導入、模倣品・海賊版対策の強化などが図られています。
参照元:TPP(環太平洋パートナーシップ)(経済産業省)
EU側の関税撤廃率は品目数ベースで約99%となり、特に自動車部品では90%以上が即時撤廃されます(貿易額ベース)。また、牛肉・茶・水産物等の輸出重点品目を含め、農林水産品のほぼ全品目で関税が撤廃されます。
日本側の関税撤廃率は品目数ベースで約94%に上り、繊維・繊維製品等の関税は即時撤廃されます。また、農林水産品ではワインやチーズなどの関税が撤廃されますが、コメや麦・乳製品等の農林水産品は関税や輸入規制が残ります。
他にも、サービス貿易や投資分野の原則自由化や電子商取引に関するルールの整備などについても規定されています。知的財産権についても規定があり、例えば地理的表示(GI)については高いレベルでの相互保護が謳われています。 参照元:日・EU経済連携協定(外務省)
日米貿易協定は主に物品貿易を対象としており、日本側は牛肉・豚肉をはじめとする農産品や加工食品を中心に関税の引き下げや撤廃を行い、アメリカ側は日本から輸出される産業機械や化学品等の工業製品について関税撤廃や削減を実施しています。
この日米貿易協定には、第一次トランプ政権の強硬な通商政策への対応という側面があります。自動車をはじめとする工業製品に対するアメリカの関税強化や輸入規制を回避するため、日米間で交渉が行われました。
また、日米デジタル貿易協定は、国際的なルール作りに主導的な役割を果たすものと位置付けられています。具体的には、デジタル製品の送信に対する非課税、ソースコードやアルゴリズムの移転要求の禁止などが盛り込まれています。
これらの協定は、物品貿易とデジタル経済の両面から日米間の貿易関係を強力かつ安定的で互恵的な形で拡大することを目的としています。
参照元:日米貿易協定と日米デジタル貿易協定の主な内容について(JETRO)
対象地域は世界のGDP・貿易総額・人口の約30%を占め、日本にとっても貿易総額の約50%を占めるという特徴があります。対象分野も広く、物品の貿易や原産地規則のみならず、衛生植物検疫措置や知的財産権、電子商取引や政府調達などが含まれます。
なお、RCEPにおける関税撤廃の程度は、RCEP協定締約国によって異なります。日本製の工業製品については、全体で約92%の品目で関税が撤廃され、中国・韓国においては無税品目の割合が大きく上昇しています(中国:8%→86% / 韓国:19%→92%)。
また、RCEP協定締約国の製品については、化学工業製品や繊維・繊維製品等の関税が即時または段階的に関税が撤廃される一方、農林水産品における重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)については関税削減・撤廃の対象外となっています。 参照元:地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(外務省)
貿易協定には様々なものがあり、自社に最適な制度を選ぶことは容易ではありません。加えて内容も随時見直されるため、最新情報の把握も難しいのが実情です。貿易協定の活用を検討する際は、豊富な経験を持つ物流業者へご相談ください。
貿易協定は経済活動の活性化を目的とした、貿易や投資の自由化・円滑化に関する取り決めを指します。関税の低減やビジネス環境の安定化といった効果があり、現在では、世界的に経済連携協定を中心に貿易協定の締結が進んでいます。
また、日本も20以上の貿易協定が発効・署名済みとなっており、先述した6つが代表的な貿易協定として挙げられます。貿易協定の内容は定期的に見直しが行われており、最新情報を確認することが肝要です。
我々としても、これまでの解説が皆様のビジネスのお役に立つことを願っています。当社鴻池運輸には、1980年代からの海外展開で蓄積された豊富なノウハウと世界に広がるグローバルネットワークがあり、お客様の国際物流を支えることができます。
北中米、中国、アセアン、インドを中心にフォワーディングをはじめ、ロジスティクス、コントラクト、エンジニアリング、パッケージング、トレーディングなど様々な事業を展開。国際貿易業務に限らず、海外展開でのお困りごとがあれば、お気軽に当社までお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
- 日・シンガポール経済連携協定
- 日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定
- TPP(環太平洋パートナーシップ)協定/ CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)
- 日・EU経済連携協定
- 日米貿易協定・日米デジタル貿易協定
- 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
日・シンガポール経済連携協定
日本で最初の貿易協定(経済連携協定:EPA)は、2002年に発効した「日・シンガポール経済連携協定」です。この貿易協定では、域内貿易・投資の拡大や貿易制度の調和を図るとともに、二国間の包括的経済連携の推進が図られました。具体的には、市場アクセスの改善や金融サービスの改善などが進められ、例えば日本側では農林水産品(マンゴーやドリアンなど)の関税が即時または段階的に撤廃されました。他にも、シンガポール側では金融規制の緩和などが実現しています。
この貿易協定の発効後、日本とシンガポールの経済関係は深まり、日本のシンガポールとの物品の貿易は、2007年までに輸出が44.6%増、輸入が32.3%増となりました。他にもサービス貿易や対シンガポール直接投資残高も大きく増加しています。
参照元:日シンガポールEPA(経済産業省)
日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定
日本で最初の多国間協定は、2010年に全締約国間で発効した「日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定」です。この貿易協定では、物品貿易の自由化・円滑化や知財・農林水産分野での協力、サービス貿易や投資に関する継続協議について規定されています。AJCEPの特徴として、「累積原産地規則」のルールが挙げられます。これは、複数の国・地域で行われた加工や原材料の使用を合算して「原産品」と認める仕組みであり、例えば日本の部品をタイで加工してマレーシアに輸出する場合、タイ原産品として扱われることになります。
したがって、従来は日本の部品を含むことでASEAN原産性を満たせずASEAN域内の自由貿易協定の恩恵を受けることができなかったとしても、この「累積原産地規則」が適用されることでASEAN原産性が満たされ、特恵税率の適用が可能になる場合が出てきます。
なお、日本はAJCEPの発効までに、マレーシアやタイなどのASEAN構成国とEPAを結んでいました。これらのEPAとAJCEPには法的な優先関係がないため、輸入通関の際は自社にとって有利な協定の関税率を適用することができます。
参照元:日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定について(経済産業省)
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定/ CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定とは、太平洋に面した国を中心とした12か国で交渉が進められてきた経済連携協定です。ただし、2017年1月にアメリカが離脱表明したため、改めてアメリカ以外の11か国でCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)が結ばれました。現在、CPTPPは2024年に加入したイギリスも含めて12か国で構成されています。
また、保護主義的傾向の世界的な傾向に対して自由で公正な「21世紀型のルール」を作る上での重要な第一歩として位置づけられており、米国や他のアジア太平洋諸国・地域に対するメッセージ性があることが謳われています。
このCPTPPでは、工業製品の大幅な関税撤廃(10か国全体で99.9%)に加えて、原産地規則の整理や電子商取引に関する規定の導入、模倣品・海賊版対策の強化などが図られています。
参照元:TPP(環太平洋パートナーシップ)(経済産業省)
日・EU経済連携協定
日・EU経済連携協定は、日本とEUの間で締結された貿易協定であり、2019年2月に発効されました。世界貿易におけるシェアの大きい日本(3.0%/2024年)とEU(27.6%/2024年)で構成される世界最大級の自由な先進経済圏という特徴があります。EU側の関税撤廃率は品目数ベースで約99%となり、特に自動車部品では90%以上が即時撤廃されます(貿易額ベース)。また、牛肉・茶・水産物等の輸出重点品目を含め、農林水産品のほぼ全品目で関税が撤廃されます。
日本側の関税撤廃率は品目数ベースで約94%に上り、繊維・繊維製品等の関税は即時撤廃されます。また、農林水産品ではワインやチーズなどの関税が撤廃されますが、コメや麦・乳製品等の農林水産品は関税や輸入規制が残ります。
他にも、サービス貿易や投資分野の原則自由化や電子商取引に関するルールの整備などについても規定されています。知的財産権についても規定があり、例えば地理的表示(GI)については高いレベルでの相互保護が謳われています。 参照元:日・EU経済連携協定(外務省)
日米貿易協定・日米デジタル貿易協定
日米貿易協定および日米デジタル貿易協定は、世界のGDPの約30%を占める日本とアメリカの間で締結された二国間の経済ルールを定める協定です。日米貿易協定は主に物品貿易を対象としており、日本側は牛肉・豚肉をはじめとする農産品や加工食品を中心に関税の引き下げや撤廃を行い、アメリカ側は日本から輸出される産業機械や化学品等の工業製品について関税撤廃や削減を実施しています。
この日米貿易協定には、第一次トランプ政権の強硬な通商政策への対応という側面があります。自動車をはじめとする工業製品に対するアメリカの関税強化や輸入規制を回避するため、日米間で交渉が行われました。
また、日米デジタル貿易協定は、国際的なルール作りに主導的な役割を果たすものと位置付けられています。具体的には、デジタル製品の送信に対する非課税、ソースコードやアルゴリズムの移転要求の禁止などが盛り込まれています。
これらの協定は、物品貿易とデジタル経済の両面から日米間の貿易関係を強力かつ安定的で互恵的な形で拡大することを目的としています。
参照元:日米貿易協定と日米デジタル貿易協定の主な内容について(JETRO)
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定とは、ASEANを中心に、日中韓と豪州・ニュージーランドで構成される貿易協定です。対象地域は世界のGDP・貿易総額・人口の約30%を占め、日本にとっても貿易総額の約50%を占めるという特徴があります。対象分野も広く、物品の貿易や原産地規則のみならず、衛生植物検疫措置や知的財産権、電子商取引や政府調達などが含まれます。
なお、RCEPにおける関税撤廃の程度は、RCEP協定締約国によって異なります。日本製の工業製品については、全体で約92%の品目で関税が撤廃され、中国・韓国においては無税品目の割合が大きく上昇しています(中国:8%→86% / 韓国:19%→92%)。
また、RCEP協定締約国の製品については、化学工業製品や繊維・繊維製品等の関税が即時または段階的に関税が撤廃される一方、農林水産品における重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)については関税削減・撤廃の対象外となっています。 参照元:地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(外務省)
貿易協定には様々なものがあり、自社に最適な制度を選ぶことは容易ではありません。加えて内容も随時見直されるため、最新情報の把握も難しいのが実情です。貿易協定の活用を検討する際は、豊富な経験を持つ物流業者へご相談ください。
まとめ
貿易協定の基本的な考え方から種類、そして日本が締結している主な貿易協定などについて解説しました。貿易協定は経済活動の活性化を目的とした、貿易や投資の自由化・円滑化に関する取り決めを指します。関税の低減やビジネス環境の安定化といった効果があり、現在では、世界的に経済連携協定を中心に貿易協定の締結が進んでいます。
また、日本も20以上の貿易協定が発効・署名済みとなっており、先述した6つが代表的な貿易協定として挙げられます。貿易協定の内容は定期的に見直しが行われており、最新情報を確認することが肝要です。
我々としても、これまでの解説が皆様のビジネスのお役に立つことを願っています。当社鴻池運輸には、1980年代からの海外展開で蓄積された豊富なノウハウと世界に広がるグローバルネットワークがあり、お客様の国際物流を支えることができます。
北中米、中国、アセアン、インドを中心にフォワーディングをはじめ、ロジスティクス、コントラクト、エンジニアリング、パッケージング、トレーディングなど様々な事業を展開。国際貿易業務に限らず、海外展開でのお困りごとがあれば、お気軽に当社までお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
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