RCEPとは?加盟国と協定の概要をわかりやすく解説
国際物流
近年、日本政府は積極的に他国との貿易協定の締結に取り組んでいます。その中でも貿易関係者が特に強い関心を寄せているのが「地域的な包括的経済連携協定:Regional Comprehensive Economic Partnership:RCEP)です。
このRCEPは、東アジア・東南アジア・オセアニアにまたがる世界最大級の貿易協定であり、参加国間で市場アクセスの大幅な改善が期待されています。併せて、日本にとって主要な貿易相手国である中国・韓国と初めて結ばれた貿易協定という点も見逃せません。
そして、貿易関係者にとっては、RCEPでは関税の撤廃・削減効果をはじめとする複数のメリットが期待できます。また、原産地証明制度の拡充など、注目のトピックも複数存在します。
そこで今回は、RCEPの特徴・意義・歴史的経緯を最初に整理します。その上で、RCEPを活用するメリットやRCEPにおいて注目すべきトピックについて解説します。
このRCEPは、東アジア・東南アジア・オセアニアにまたがる世界最大級の貿易協定であり、参加国間で市場アクセスの大幅な改善が期待されています。併せて、日本にとって主要な貿易相手国である中国・韓国と初めて結ばれた貿易協定という点も見逃せません。
そして、貿易関係者にとっては、RCEPでは関税の撤廃・削減効果をはじめとする複数のメリットが期待できます。また、原産地証明制度の拡充など、注目のトピックも複数存在します。
そこで今回は、RCEPの特徴・意義・歴史的経緯を最初に整理します。その上で、RCEPを活用するメリットやRCEPにおいて注目すべきトピックについて解説します。
RCEPとは?
まず、RCEPとはどのようなものでしょうか?ここでは、RCEPの特徴・意義・歴史的経緯について解説します。
関税の撤廃・削減に加え、投資・知的財産・電子商取引などをはじめとする幅広い分野のルールを整備していることが特徴です
※発効国は14か国(ミャンマーのみ未発効)
物品貿易においては、関税の撤廃もしくは段階的な削減が進められており、RCEP参加国全体で約91%の品目の関税の撤廃が行われています。
その中でも日本産品の輸出について見ると、工業製品では自動車部品などを中心、日本以外の国で多くの品目の関税撤廃が実現しています。併せて、農林水産品でも中国等との間で日本側の輸出の関心が高い品目の関税が撤廃されています。
また、他国産品の輸入について見ると、化学工業製品をはじめとする工業製品は関税の即時もしくは段階的な撤廃が決められています。一方で、米や麦などの重要5品目については関税撤廃・削減の対象外とされるなど、品目によって選択的な扱いがあります。
加えて、物品貿易以外についても、さまざまなルールが決められていることが特徴的です。一例をあげると、税関手続きの簡素化・通関の迅速化などについての記載があり、急送貨物の6時間以内の引き取り許可を目指すことなどが明文化されています。
また、RCEPの対象となる地域は、GDP・貿易総額・人口において世界全体の約3割を占め、非常に経済的なプレゼンスが極めて大きいといえます。RCEPにより市場アクセスが改善されることで、日本はこれらの地域の成長を取り込むチャンスを得やすくなります。
そして、これらの効果により、日本経済の成長が促進されることもRCEPの意義として挙げられます。国の試算によると、RCEPにより日本の実質GDPは最終的に2.7%の増加が見込まれ、これは2019年度の実質GDP水準で約15兆円に相当するとされています。
参照元:RCEP協定の経済効果分析(外務省他)
他にも、参加国共通の原産地規則や税関手続きの下で特恵税率を利用できるため、これまでのような個別の貿易協定を使い分ける必要がなくなり、貿易実務の効率化が進むことも指摘できます。
なお、RCEPにインドは参加していませんが、今後の加入に向けて門戸が開放されています。仮に南アジアの経済大国であるインドが加入すると、RCEPの規模がさらに拡大し、より大きな経済効果を発揮することが予想されます。
このRCEPは、2025年12月時点では日本にとって最新の貿易協定となっています。日本はこれまでに20件以上の貿易協定を締結してきましたが、RCEPは地理的範囲や経済的規模、および中国・韓国との関係強化などの面において非常に重要な位置づけです。
2026年現在でもスリランカやチリなどの協定参加国以外の国からの参加表明が相次いでおり、今後もRCEPの枠組みが拡大していく可能性があります。RCEPは、現在進行形で進化を続ける経済連携協定といえるでしょう。
RCEPの特徴
RCEPとは、ASEAN諸国を中心に、日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランドを合わせた計15か国が参加する経済連携協定です。関税の撤廃・削減に加え、投資・知的財産・電子商取引などをはじめとする幅広い分野のルールを整備していることが特徴です
※発効国は14か国(ミャンマーのみ未発効)
物品貿易においては、関税の撤廃もしくは段階的な削減が進められており、RCEP参加国全体で約91%の品目の関税の撤廃が行われています。
その中でも日本産品の輸出について見ると、工業製品では自動車部品などを中心、日本以外の国で多くの品目の関税撤廃が実現しています。併せて、農林水産品でも中国等との間で日本側の輸出の関心が高い品目の関税が撤廃されています。
また、他国産品の輸入について見ると、化学工業製品をはじめとする工業製品は関税の即時もしくは段階的な撤廃が決められています。一方で、米や麦などの重要5品目については関税撤廃・削減の対象外とされるなど、品目によって選択的な扱いがあります。
加えて、物品貿易以外についても、さまざまなルールが決められていることが特徴的です。一例をあげると、税関手続きの簡素化・通関の迅速化などについての記載があり、急送貨物の6時間以内の引き取り許可を目指すことなどが明文化されています。
RCEPの意義
まず、RCEPは日本が主要な貿易相手国である中国・韓国と初めて結んだ貿易協定であることが重要です。今後、中国・韓国との間で多くの関税が撤廃・削減されることで多くの貿易関係者に恩恵が及び、日中間・日韓間の貿易がますます盛んになることが期待できます。また、RCEPの対象となる地域は、GDP・貿易総額・人口において世界全体の約3割を占め、非常に経済的なプレゼンスが極めて大きいといえます。RCEPにより市場アクセスが改善されることで、日本はこれらの地域の成長を取り込むチャンスを得やすくなります。
そして、これらの効果により、日本経済の成長が促進されることもRCEPの意義として挙げられます。国の試算によると、RCEPにより日本の実質GDPは最終的に2.7%の増加が見込まれ、これは2019年度の実質GDP水準で約15兆円に相当するとされています。
参照元:RCEP協定の経済効果分析(外務省他)
他にも、参加国共通の原産地規則や税関手続きの下で特恵税率を利用できるため、これまでのような個別の貿易協定を使い分ける必要がなくなり、貿易実務の効率化が進むことも指摘できます。
なお、RCEPにインドは参加していませんが、今後の加入に向けて門戸が開放されています。仮に南アジアの経済大国であるインドが加入すると、RCEPの規模がさらに拡大し、より大きな経済効果を発揮することが予想されます。
RCEPの歴史的経緯
RCEPは2012年11月に交渉が開始され、長期に渡る協議を経て2020年11月の署名、そして2022年1月に発効しました。交渉の途中でインドが不参加になるなどの経緯がありましたが、最終的には15か国が参加する貿易協定として成立しました。このRCEPは、2025年12月時点では日本にとって最新の貿易協定となっています。日本はこれまでに20件以上の貿易協定を締結してきましたが、RCEPは地理的範囲や経済的規模、および中国・韓国との関係強化などの面において非常に重要な位置づけです。
2026年現在でもスリランカやチリなどの協定参加国以外の国からの参加表明が相次いでおり、今後もRCEPの枠組みが拡大していく可能性があります。RCEPは、現在進行形で進化を続ける経済連携協定といえるでしょう。
RCEPを活用するメリット
RCEPには、貿易関係者にとってさまざまなメリットがあります。ここでは、RCEPを活用するメリットについて、「物品貿易」と「物品貿易以外」に分けて説明します。
なお、関税の撤廃・削減のみならず、さまざまな分野でメリットがあります。これら以外の分野にも多くの国際的なルールが整備されていますので、関心がある方は外務省や経済産業省のWebページもご確認ください。
参照元:
輸入では、化学工業製品や繊維・繊維品等の工業製品や国産品と競合しない農林水産品などの関税が大きく撤廃・削減されています。これらを取り扱う輸入事業者は輸入コストを抑えた形で国内市場に商品を供給できるため、輸入品の市場が拡大することが期待できます。
また、RCEPにおける「累積」規定を活用することで、RCEP参加国で生産・加工された原材料を自国原産の材料とみなすことができるようになり、RCEP圏内でのサプライチェーン構築の柔軟性が向上しました。これにより、日本で生産した部品を使用してASEAN圏内で組み立てた製品を中国に輸出する、といった場合でもRCEP協定税率の適用が受けられるようになります。すなわち、複雑な原産地規則の制約を受けずに最適なサプライチェーンを構築できることにつながります。
なお、RCEP以前に発効した日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定では「累積」規定が適用されていませんでしたが、RCEPで新たに適用されるようになりました。そのため、東南アジアから輸入されるアパレル製品の関税の即時撤廃が実現しました。これにより、関税暫定措置法第8条による加工再輸入減税を適用する輸入の取り扱いが減少しています。
代表的なものとして「データ・フリーフロー」(国を超えたデータ移転の自由)や、「データ・ローカライゼーションの禁止」(政府による、当該国内におけるサーバー設置の強制の禁止)などが挙げられます。これにより、各国企業のEコマースの利用が拡大し、その結果、RCEP圏内でのデジタル取引が促進されると見込まれています。
その他にも、電子署名の法的有効性や消費者保護などに関する項目も規定されています。今後、国際的なデジタル取引がますます活発化することが想定されますが、デジタル貿易に関する国際的なルールが整備されたことで電子商取引の拡大が進むことが予想されています。
第三者証明制度は、経済産業大臣が指定した発給機関(日本の場合は日本商工会議所が担当)が原産地証明書を発給する制度です。多くの貿易関係者にとっては慣れ親しんでいるやり方ですが、申請や取得に一定の時間とコストが必要になるという特徴があります。
認定輸出者自己証明制度は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者が、自ら原産地証明書を作成する制度です。第三者証明制度のような手続きが不要になるというメリットがありますが、認定輸出者になるためには社内責任者等の配置などが求められます。
自己申告制度は、輸出者(生産者)もしくは輸入者が、自ら原産地申告を作成する制度です。この制度は認定輸出者自己証明制度と異なり、国(経済産業大臣)による認定は不要とされています。
RCEPでは、輸出者もしくは輸入者は上記の3つの原産地証明制度のいずれかを選択することができます。ただし、原産地証明制度の対応状況はRCEP参加国によって異なり、導入予定に時間差がある場合がありますので、常に最新情報を確認するようにしてください。
共通譲許方式とは、RCEP全署名国に同じ税率を設定する方式です。関税体系が比較的シンプルになり、企業にとっては税率の把握や管理がしやすいというメリットがあります。RCEPでは、シンガポールやオーストラリアなどが採用しています。
一方、個別譲許方式とは、相手国ごとに適用する関税率を設定する方式です。個別譲許方式はさらに署名国ごとに異なる関税率表を設定するパターン(中国・韓国など)と、単一の関税率表に備考欄等で国別の関税率の違いを明記するパターン(日本など)に分かれます。
このように、関税率の適用については複雑な状況にあります。関税率について調査する際は、参加国ごとに関税率の設定方法が異なることを念頭に置く必要があります。
最後に、RCEPにおける注目すべき内容として「税率差ルール」について解説します。これは、個別譲許方式により生じる関税率の差を利用し、意図的に関税率の低い国を経由して輸出入する「迂回輸出」を防ぐための仕組みです。
個別譲許方式を採用する国では、輸出国によって関税率が変わります。例えば日本に向けて中国から男性用の綿製ポロシャツを輸入する場合、7.5%の関税が課されます。ところが、ASEANを経由して輸入した場合は無税となり、関税の支払いを逃れることができます。
このような状況を避けるため、RCEPでは輸出国で単純な包装等の「軽微な工程」以外の生産工程が行われていない場合は当該輸出国をRCEP原産国としてみなさず、「税率差ルール」により本来の関税率を適用します。
なお、一部の品目についてはさらに要件が厳しく、輸出国で原産品の価額の総額20%以上の付加価値を追加しないと原産品として認めないとしています。日本の場合、農産品・皮革・履物などがその対象品目として挙げられています。
このように、RCEPには貿易関係者にとって初めてとなる制度が一部導入されています。ただし、その詳細を正確に理解することは非常に困難です。RCEPの活用をお考えの方は、RCEP活用の実績とノウハウを持つ専門業者にご相談ください。
RCEPは、東アジアからオセアニアまでの15か国が関税の大幅な撤廃や削減、さまざまな分野のルール設定などで合意した歴史的な貿易協定です。また、日本が主要な貿易相手国である中国・韓国と初めて締結した貿易協定という点でも画期的な意義を持ちます。
貿易関係者にとっても、RCEPには関税の撤廃・削減のみならず、ビジネス環境の整備などメリットがあります。また、3つの原産地証明制度の併用など、RCEPで初めて導入されたルールもあり、RCEPの活用に向けてしっかり内容を理解する必要があります。
なお、RCEPは5年ごとの定期的な見直しが行われることが定められており、次回は2027年に予定されています。RCEPの枠組みを活用する場合は、常に最新情報を確認するようにしてください。この記事をきっかけにRCEPについて認識を深め、皆さんのビジネスで活用していただければ幸いです。
当社鴻池運輸には、1980年代からの海外展開で蓄積された豊富なノウハウと世界に広がるグローバルネットワークがあり、お客様の国際物流を支えることができます。北中米、中国、アセアン、インドを中心にフォワーディングをはじめ、ロジスティクス、コントラクト、エンジニアリング、パッケージング、トレーディングなど様々な事業を展開。
国際貿易業務に限らず、海外展開でのお困りごとがあれば、お気軽に当社までお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
なお、関税の撤廃・削減のみならず、さまざまな分野でメリットがあります。これら以外の分野にも多くの国際的なルールが整備されていますので、関心がある方は外務省や経済産業省のWebページもご確認ください。
参照元:
「物品貿易」のメリット
まず、「物品貿易」のメリットについて解説します。「物品貿易」のメリットには、輸出入の活性化や、原産地規則対応の効率化などが挙げられます。輸出入の活性化
RCEPでは、自動車部品などの工業製品の関税が撤廃され、日本の競争力が高い自動車部品などの工業製品の輸出がさらに拡大する条件が整っています。また、中国・韓国向けの清酒やインドネシア向けの牛肉などの関税撤廃により、世界的な日本食ブームの中で市場拡大の余地がある農林水産品の輸出可能性も高まっています。輸入では、化学工業製品や繊維・繊維品等の工業製品や国産品と競合しない農林水産品などの関税が大きく撤廃・削減されています。これらを取り扱う輸入事業者は輸入コストを抑えた形で国内市場に商品を供給できるため、輸入品の市場が拡大することが期待できます。
原産地規則対応の効率化
RCEPでは、参加国共通の原産地規則が導入されています。そのため、貿易協定ごとに異なっていた原産地規則への対応が一本化され、通関書類の作成や原産地証明書の準備などに関連する貿易実務の効率化が大きく進展することになりました。また、RCEPにおける「累積」規定を活用することで、RCEP参加国で生産・加工された原材料を自国原産の材料とみなすことができるようになり、RCEP圏内でのサプライチェーン構築の柔軟性が向上しました。これにより、日本で生産した部品を使用してASEAN圏内で組み立てた製品を中国に輸出する、といった場合でもRCEP協定税率の適用が受けられるようになります。すなわち、複雑な原産地規則の制約を受けずに最適なサプライチェーンを構築できることにつながります。
なお、RCEP以前に発効した日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定では「累積」規定が適用されていませんでしたが、RCEPで新たに適用されるようになりました。そのため、東南アジアから輸入されるアパレル製品の関税の即時撤廃が実現しました。これにより、関税暫定措置法第8条による加工再輸入減税を適用する輸入の取り扱いが減少しています。
「物品貿易」以外のメリット
続いて、「物品貿易」以外のメリットについて解説します。「物品貿易」以外のメリットには、日本企業の海外展開における予見可能性の向上や、電子商取引の拡大などがあります。海外展開における予見可能性の向上
RCEPでは、投資保護や紛争解決手続きに関するルールが明文化されています。これにより、RCEP参加国で事業展開を行う日本企業は、当該国での法的安定性や予見可能性が高まり、安心して海外投資を行えるようになります。例えば、タイにおける自動車・自動車部品などの製造に関連しては、外資系企業(非タイ資本)が出資制限を受けることなく、タイ市場に参入できることがタイ政府により約束されています。電子商取引の拡大
RCEPでは、電子商取引に関するルール整備も進められています。代表的なものとして「データ・フリーフロー」(国を超えたデータ移転の自由)や、「データ・ローカライゼーションの禁止」(政府による、当該国内におけるサーバー設置の強制の禁止)などが挙げられます。これにより、各国企業のEコマースの利用が拡大し、その結果、RCEP圏内でのデジタル取引が促進されると見込まれています。
その他にも、電子署名の法的有効性や消費者保護などに関する項目も規定されています。今後、国際的なデジタル取引がますます活発化することが想定されますが、デジタル貿易に関する国際的なルールが整備されたことで電子商取引の拡大が進むことが予想されています。
RCEPにおける注目のトピック
RCEPには、原産地証明制度の拡充など、従来の貿易協定とは異なる制度があります。ここでは、RCEPにおける注目のトピックについて解説します。原産地証明制度の拡充
RCEPでは、日本が締結した貿易協定としては初めて、「第三者証明制度」「認定輸出者自己証明制度」「自己申告制度」の3つの原産地証明制度が併用される仕組みが導入されました。第三者証明制度は、経済産業大臣が指定した発給機関(日本の場合は日本商工会議所が担当)が原産地証明書を発給する制度です。多くの貿易関係者にとっては慣れ親しんでいるやり方ですが、申請や取得に一定の時間とコストが必要になるという特徴があります。
認定輸出者自己証明制度は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者が、自ら原産地証明書を作成する制度です。第三者証明制度のような手続きが不要になるというメリットがありますが、認定輸出者になるためには社内責任者等の配置などが求められます。
自己申告制度は、輸出者(生産者)もしくは輸入者が、自ら原産地申告を作成する制度です。この制度は認定輸出者自己証明制度と異なり、国(経済産業大臣)による認定は不要とされています。
RCEPでは、輸出者もしくは輸入者は上記の3つの原産地証明制度のいずれかを選択することができます。ただし、原産地証明制度の対応状況はRCEP参加国によって異なり、導入予定に時間差がある場合がありますので、常に最新情報を確認するようにしてください。
関税率の引き下げ方式
RCEPでは、国ごとに「共通譲許方式」と「個別譲許方式」のいずれかを選択する仕組みが採用されています。共通譲許方式とは、RCEP全署名国に同じ税率を設定する方式です。関税体系が比較的シンプルになり、企業にとっては税率の把握や管理がしやすいというメリットがあります。RCEPでは、シンガポールやオーストラリアなどが採用しています。
一方、個別譲許方式とは、相手国ごとに適用する関税率を設定する方式です。個別譲許方式はさらに署名国ごとに異なる関税率表を設定するパターン(中国・韓国など)と、単一の関税率表に備考欄等で国別の関税率の違いを明記するパターン(日本など)に分かれます。
このように、関税率の適用については複雑な状況にあります。関税率について調査する際は、参加国ごとに関税率の設定方法が異なることを念頭に置く必要があります。
「税率差ルール」の適用
最後に、RCEPにおける注目すべき内容として「税率差ルール」について解説します。これは、個別譲許方式により生じる関税率の差を利用し、意図的に関税率の低い国を経由して輸出入する「迂回輸出」を防ぐための仕組みです。個別譲許方式を採用する国では、輸出国によって関税率が変わります。例えば日本に向けて中国から男性用の綿製ポロシャツを輸入する場合、7.5%の関税が課されます。ところが、ASEANを経由して輸入した場合は無税となり、関税の支払いを逃れることができます。
このような状況を避けるため、RCEPでは輸出国で単純な包装等の「軽微な工程」以外の生産工程が行われていない場合は当該輸出国をRCEP原産国としてみなさず、「税率差ルール」により本来の関税率を適用します。
なお、一部の品目についてはさらに要件が厳しく、輸出国で原産品の価額の総額20%以上の付加価値を追加しないと原産品として認めないとしています。日本の場合、農産品・皮革・履物などがその対象品目として挙げられています。
このように、RCEPには貿易関係者にとって初めてとなる制度が一部導入されています。ただし、その詳細を正確に理解することは非常に困難です。RCEPの活用をお考えの方は、RCEP活用の実績とノウハウを持つ専門業者にご相談ください。
まとめ
RCEPの特徴・意義・歴史的経緯、そしてRCEPを活用するメリットやRCEPにおいて注目すべきトピックについて解説しました。RCEPは、東アジアからオセアニアまでの15か国が関税の大幅な撤廃や削減、さまざまな分野のルール設定などで合意した歴史的な貿易協定です。また、日本が主要な貿易相手国である中国・韓国と初めて締結した貿易協定という点でも画期的な意義を持ちます。
貿易関係者にとっても、RCEPには関税の撤廃・削減のみならず、ビジネス環境の整備などメリットがあります。また、3つの原産地証明制度の併用など、RCEPで初めて導入されたルールもあり、RCEPの活用に向けてしっかり内容を理解する必要があります。
なお、RCEPは5年ごとの定期的な見直しが行われることが定められており、次回は2027年に予定されています。RCEPの枠組みを活用する場合は、常に最新情報を確認するようにしてください。この記事をきっかけにRCEPについて認識を深め、皆さんのビジネスで活用していただければ幸いです。
当社鴻池運輸には、1980年代からの海外展開で蓄積された豊富なノウハウと世界に広がるグローバルネットワークがあり、お客様の国際物流を支えることができます。北中米、中国、アセアン、インドを中心にフォワーディングをはじめ、ロジスティクス、コントラクト、エンジニアリング、パッケージング、トレーディングなど様々な事業を展開。
国際貿易業務に限らず、海外展開でのお困りごとがあれば、お気軽に当社までお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
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