危険物倉庫とは?消防法や倉庫業法などの法令上の位置づけとアウトソーシングのメリット
国際物流
まず、危険物倉庫の基本として、危険物の定義と危険物倉庫の法令上の位置づけを解説します。
危険物倉庫では、これらの消防法上の危険物に該当する貨物が取り扱われます。
また、上記以外にも、市町村長等の貯蔵所の設置許可や貯蔵所の位置・構造・設備などの整備、危険物取扱者の配置などに関する規制が存在しています。
危険品倉庫は冷蔵倉庫や水面倉庫と異なる普通倉庫の一つとして位置づけられますが、一般の貨物を保管できる一類倉庫などとは別の区分として定義されており、構造・設備などに関する基準が通常の倉庫よりも厳格という特徴があります。
なお、これらの法令以外にも、都市計画法や建築基準法、港湾法などにおいて危険物倉庫の在り方は制約を受けます。災害リスクの大きい物質を取り扱う倉庫であるため、さまざまな法令における強い規制の下、厳格に管理されているといえます。
例えば、第四類危険物のガソリン(第一石油類/非水溶性液体)は200リットル、アルコール(アルコール類)は400リットル、オリーブ油(動植物油類)は10,000リットルと定められています。また、その他の危険物でもそれぞれ異なる指定数量が設定されています。
この指定数量を超えて保管・貯蔵する場合、その施設は消防法上の貯蔵所として扱われ、立地・規模・構造・設備などについて厳格な基準を満たす必要があります。
まず、指定数量の1/5から指定数量未満の量であれば、「少量危険物」として扱われ、市町村の火災予防条例の規制対象になります。少量危険物の場合、原則として消防署への届け出は必要ですが、危険物取扱者の配置は不要になります。
また、指定数量の1/5未満の量であれば、市町村の火災予防条例の規制対象からも外れます。この場合、普通倉庫(倉庫業法において規定される1類倉庫)でも危険物を保管できるようになります。
以上の内容から、危険物倉庫の活用を検討する際の目安として、指定数量が重要なことがわかります。なお、指定数量未満であっても、対象の貨物が危険物であることには変わりがないため、危険物の取り扱いには専門性が求められます。
危険物の定義
危険物とは、一般的に火災の発生や拡大の危険性が高く、消火の困難性の高い性質を持ったものを指します。火災の予防などについて定めた消防法では危険物を細かく定義しており、性質ごとに次の6つに分類しています。- 第一類:酸化性固体
- 第二類:可燃性固体
- 第三類:自然発火性物質及び禁水性物質
- 第四類:引火性液体
- 第五類:自己反応性物質
- 第六類:酸化性液体
第一類:酸化性固体
その物自体は燃焼しないものの、他の物質の酸化を強く促進する性質を持つ固体性の物資です。可燃物と混合した時に分解され、火災や爆発を引き起こす危険性があります。具体的には、塩素酸塩類、過塩素酸塩類、硝酸塩類などが該当します。第二類:可燃性固体
火炎により着火しやすく、もしくは40℃未満の低温でも引火しやすい固体性の物質です。燃焼速度が速く、燃焼時に有毒ガスを発生させる場合があります。具体的には、硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウムなどが該当します。第三類:自然発火性物質及び禁水性物質
自然発火性物質は空気中で自然発火する危険性を持つ物質を指し、一方で禁水性物質とは水と接触することで発火もしくは可燃性ガスを発生させる危険性を持つ物質を指します。具体的には、カリウムやナトリウム、黄りんなどが該当します。第四類:引火性液体
液体であって、引火性を有する危険性を持つ、引火点250℃未満の物質です。具体的には、第一石油類(ガソリンなど)、アルコール類(メチルアルコールなど)、第二石油類(灯油や軽油など)、動植物油類(オリーブ油など)などが該当します。第五類:自己反応性物質
加熱分解などによって比較的低い温度で急激な発熱や爆発的な反応が進行する固体性または液体性の物質です。具体的には、有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物などが該当します。第六類:酸化性液体
その物自体は燃焼しないものの、混在する他の可燃物と反応して燃焼を促進する性質を持つ液体性の物質です。具体的には、過塩素酸、過酸化水素、硝酸などが該当します。危険物倉庫では、これらの消防法上の危険物に該当する貨物が取り扱われます。
危険物倉庫の法令上の位置づけ
危険物倉庫について明確に規制している法令として「消防法」と「倉庫業法」が挙げられます。ここでは、それぞれの法令における危険物倉庫の位置づけについて解説します。消防法における危険物倉庫の位置づけ
消防法では、危険物を取り扱う施設を「製造所」「取扱所」「貯蔵所」に区分しており、危険物倉庫は貯蔵所の中に含まれます。そして、後述する「指定数量」以上の危険物を保管する場合、一部のケースを除いて貯蔵所以外で取り扱えないと定められています。また、上記以外にも、市町村長等の貯蔵所の設置許可や貯蔵所の位置・構造・設備などの整備、危険物取扱者の配置などに関する規制が存在しています。
倉庫業法における危険物倉庫の位置づけ
倉庫業の適正な運営の確保などを目的とした倉庫業法では、危険物倉庫にあたるものを「危険品倉庫」と呼称しています。危険物倉庫とは微妙に名称が異なりますが、規制対象は同じものと解釈できます。危険品倉庫は冷蔵倉庫や水面倉庫と異なる普通倉庫の一つとして位置づけられますが、一般の貨物を保管できる一類倉庫などとは別の区分として定義されており、構造・設備などに関する基準が通常の倉庫よりも厳格という特徴があります。
なお、これらの法令以外にも、都市計画法や建築基準法、港湾法などにおいて危険物倉庫の在り方は制約を受けます。災害リスクの大きい物質を取り扱う倉庫であるため、さまざまな法令における強い規制の下、厳格に管理されているといえます。
指定数量の概念の重要性
消防法では、貯蔵所(危険物倉庫)による取扱いの基準として、「指定数量」という考え方が基本となっています。ここでは、指定数量に関する考え方について解説します。指定数量とは?
危険物の管理において極めて重要なのが、「指定数量」という概念です。指定数量とは、消防法において危険物ごとに定められている基準量のことで、この数量を超えるか否かによって消防法の規制対象かどうかが判断されます。例えば、第四類危険物のガソリン(第一石油類/非水溶性液体)は200リットル、アルコール(アルコール類)は400リットル、オリーブ油(動植物油類)は10,000リットルと定められています。また、その他の危険物でもそれぞれ異なる指定数量が設定されています。
この指定数量を超えて保管・貯蔵する場合、その施設は消防法上の貯蔵所として扱われ、立地・規模・構造・設備などについて厳格な基準を満たす必要があります。
指定数量未満の場合の例外
一方で、指定数量未満の数量の取り扱いの場合は消防法の規制対象外となります。まず、指定数量の1/5から指定数量未満の量であれば、「少量危険物」として扱われ、市町村の火災予防条例の規制対象になります。少量危険物の場合、原則として消防署への届け出は必要ですが、危険物取扱者の配置は不要になります。
また、指定数量の1/5未満の量であれば、市町村の火災予防条例の規制対象からも外れます。この場合、普通倉庫(倉庫業法において規定される1類倉庫)でも危険物を保管できるようになります。
以上の内容から、危険物倉庫の活用を検討する際の目安として、指定数量が重要なことがわかります。なお、指定数量未満であっても、対象の貨物が危険物であることには変わりがないため、危険物の取り扱いには専門性が求められます。
危険物倉庫の要件
危険物倉庫を建設する場合、立地・規模・構造・設備などにおいて法令で定められる要件を守らなければなりません。ここでは、法令(危険物の規制に関する政令)における危険物倉庫の要件について解説します。
まず保安距離とは、周囲の建築物・建造物や公共施設、産業施設などとの間に確保しなければならない距離のことを指します。具体的には、住宅との間には10m以上、学校や病院などの間には30m以上、特別高圧電線との間には3〜5m以上などの規定があります。
また、保有空地とは、危険物倉庫の周囲に確保することを義務付けられた一定の空間のことで、延焼防止や消防活動の確保を目的としています。保管する危険物の指定数量や建築物の耐火構造によって空地の幅が決められています。
いずれも万が一の火災・爆発の際の被害の拡大を防ぐための安全措置であり、これらの規制に対応するため、危険物倉庫は臨海工業地帯や工業専用地域などに集中して立地する傾向があります。
まず、規模について見ると、次のような要件を満たすことが求められます。
次に、構造についても確認すると、主な要件として次のようなものが挙げられます。
なお、これらの要件は基本的なものであり、取り扱う危険物に応じて要件が変更になる場合があります。例えば、禁水性物質等を扱うのであれば、床面に水が侵入または浸透しない構造にすることも追加の要件となります。
なお、指定数量の10倍以上の危険物を保管する危険物倉庫については別法令で定める避雷設備の設置も必要になります。また、上記以外では、取り扱う危険物の種類や数量により、消火設備・警報設備・避難設備などの設置も義務付けられています。
ここで解説した条件は主要なものであり、実際は取り扱う危険物の内容に応じて微細な要件の変化が生じます。また、危険物に関する法令は都度見直されており、今後も規制の強化や緩和が行われる可能性がある点もご認識ください。
煩雑な危険物倉庫の要件を把握するのは非常に手間がかかるため、詳細を知りたい場合は危険物倉庫の設置・運営に豊富なノウハウを持つ物流業者に問い合わせることをお勧めします。
また、近年はハイブリッド車やEV車の普及などを背景に車載用リチウムイオン電池のニーズが高まっています。このリチウムイオン電池は危険物に該当するため、自動車の技術革新も危険物倉庫に対する需要を高める役割を果たしています。
このような状況を反映して、物流業者や物流不動産業者による危険物倉庫の供給は拡大しています。実際に、国土交通省が発表する倉庫統計季報においても、危険品倉庫(危険物倉庫)の建屋面積は2020年代前半に拡大傾向を強めていることが示されています。
参照元:倉庫統計季報(国土交通省)
これまでに見てきたように、危険物倉庫の設置・運営には、立地・規模・構造・設備などにおいてさまざまな制約があり、多くの荷主企業にとっては、自社で危険物倉庫を設置・運営することは大きな負担となります。
それゆえ、危険物の取り扱いを得意とする専門物流業者へのアウトソーシングが選択肢として浮上します。アウトソーシングを行うと、荷主は次のようなメリットが得られます。
これらのメリットや物流業者の提案をしっかり吟味したうえで、自社の物流戦略に適したアウトソーシング方針を検討すると良いでしょう。
なお、アウトソーシング先を選定する際には、単なるコスト競争力だけでなく、危険物の取り扱い実績や関連法令の理解、安全管理体制などを総合的に評価することが重要です。
危険物倉庫は、危険物を適切に保管するために設置・運営される専門施設です。その要件は消防法などの法令により強く規制されており、全貌を理解するには膨大な負担がかかります。
したがって、危険物物流の特性を十分に理解しており、なおかつ豊富な経験と実績を持つ物流業者にアウトソーシングすることは有力な選択肢となりえます。ぜひアウトソーシングを検討してみてください。
鴻池運輸は危険物倉庫を所有しており、消防法をはじめとする関係法令に準拠した安全管理体制のもと、危険物の適正な保管・管理を行っています。危険物倉庫の設置・運営に課題をお持ちの荷主様に対して、アウトソーシングという選択肢をご提案することも可能です。
危険物物流のコスト最適化や効率化、法令遵守体制の確保などをご検討の際は、ぜひお気軽に鴻池運輸へお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
- 立地に関する要件
- 規模・構造に関する要件
- 設備に関する要件
立地に関する要件
危険物倉庫の立地には「保安距離」や「保有空地」といった規制があります。火災リスクのある危険物を取り扱う危険物倉庫という特性上、周囲の環境や建物に対する影響を考慮する必要があることが背景にあります。まず保安距離とは、周囲の建築物・建造物や公共施設、産業施設などとの間に確保しなければならない距離のことを指します。具体的には、住宅との間には10m以上、学校や病院などの間には30m以上、特別高圧電線との間には3〜5m以上などの規定があります。
また、保有空地とは、危険物倉庫の周囲に確保することを義務付けられた一定の空間のことで、延焼防止や消防活動の確保を目的としています。保管する危険物の指定数量や建築物の耐火構造によって空地の幅が決められています。
いずれも万が一の火災・爆発の際の被害の拡大を防ぐための安全措置であり、これらの規制に対応するため、危険物倉庫は臨海工業地帯や工業専用地域などに集中して立地する傾向があります。
規模・構造に関する要件
法令では、危険物倉庫の規模や構造に関する要件についても細かく定められています。まず、規模について見ると、次のような要件を満たすことが求められます。
- 独立の専用建築物であること
- 軒高6m未満の平屋建てとすること
- 床面を地盤面以上に設けること
- 1つの倉庫の床面積は1,000㎡未満にすること
次に、構造についても確認すると、主な要件として次のようなものが挙げられます。
- 壁・柱・床は耐火構造とすること
- 梁は不燃材料で造ること
- 屋根は金属板その他の軽量な不燃材料で葺くこと
- 天井を設けないこと
なお、これらの要件は基本的なものであり、取り扱う危険物に応じて要件が変更になる場合があります。例えば、禁水性物質等を扱うのであれば、床面に水が侵入または浸透しない構造にすることも追加の要件となります。
設備に関する要件
設備面でも、詳細な規定が存在しています。設備に関する主な要件には、次のようなものが挙げられます。- 窓および出入口には、防火設備を設けること(ガラスを使用する場合は網入ガラスとする)
- 延焼の可能性のある外壁に設ける出入口には、自動閉鎖式の特定防火設備を設けること
- 危険物の貯蔵または取り扱いに必要な採光・照明・換気設備を設けること
- 電気工作物に係る法令の規定を満たす電気設備を設けること
なお、指定数量の10倍以上の危険物を保管する危険物倉庫については別法令で定める避雷設備の設置も必要になります。また、上記以外では、取り扱う危険物の種類や数量により、消火設備・警報設備・避難設備などの設置も義務付けられています。
ここで解説した条件は主要なものであり、実際は取り扱う危険物の内容に応じて微細な要件の変化が生じます。また、危険物に関する法令は都度見直されており、今後も規制の強化や緩和が行われる可能性がある点もご認識ください。
煩雑な危険物倉庫の要件を把握するのは非常に手間がかかるため、詳細を知りたい場合は危険物倉庫の設置・運営に豊富なノウハウを持つ物流業者に問い合わせることをお勧めします。
危険物倉庫のアウトソーシングのメリット
危険物倉庫を取り巻く状況は日々変化しており、物流業者による危険物倉庫の供給は増加傾向にあります。そのような状況も踏まえて、ここでは物流業者にアウトソーシングすることのメリットについて解説します。危険物倉庫を取り巻く状況
危険物というと、塗料や溶剤などに代表される化学製品をイメージしがちですが、一部の化粧品やアルコール消毒液なども危険物に該当します。これらの製品はEC需要の急拡大の中で取り扱いが増え、EC事業者の危険物倉庫需要は増加傾向にあると言われています。また、近年はハイブリッド車やEV車の普及などを背景に車載用リチウムイオン電池のニーズが高まっています。このリチウムイオン電池は危険物に該当するため、自動車の技術革新も危険物倉庫に対する需要を高める役割を果たしています。
このような状況を反映して、物流業者や物流不動産業者による危険物倉庫の供給は拡大しています。実際に、国土交通省が発表する倉庫統計季報においても、危険品倉庫(危険物倉庫)の建屋面積は2020年代前半に拡大傾向を強めていることが示されています。
参照元:倉庫統計季報(国土交通省)
アウトソーシングのメリット
危険物倉庫の供給が拡大している中、物流業者は危険物倉庫について積極的な提案を行っています。この状況は、荷主にとっては、危険物倉庫のアウトソーシングを真剣に考える機会が到来していると評価することができます。これまでに見てきたように、危険物倉庫の設置・運営には、立地・規模・構造・設備などにおいてさまざまな制約があり、多くの荷主企業にとっては、自社で危険物倉庫を設置・運営することは大きな負担となります。
それゆえ、危険物の取り扱いを得意とする専門物流業者へのアウトソーシングが選択肢として浮上します。アウトソーシングを行うと、荷主は次のようなメリットが得られます。
- 設備投資や維持管理コストの削減
- 運営の効率化
- 法令遵守体制の確保
これらのメリットや物流業者の提案をしっかり吟味したうえで、自社の物流戦略に適したアウトソーシング方針を検討すると良いでしょう。
なお、アウトソーシング先を選定する際には、単なるコスト競争力だけでなく、危険物の取り扱い実績や関連法令の理解、安全管理体制などを総合的に評価することが重要です。
まとめ
危険物倉庫の基本的な概要、立地・規模・構造・設備などに関する要件、さらに危険物倉庫のアウトソーシングのメリットについて解説しました。危険物倉庫は、危険物を適切に保管するために設置・運営される専門施設です。その要件は消防法などの法令により強く規制されており、全貌を理解するには膨大な負担がかかります。
したがって、危険物物流の特性を十分に理解しており、なおかつ豊富な経験と実績を持つ物流業者にアウトソーシングすることは有力な選択肢となりえます。ぜひアウトソーシングを検討してみてください。
鴻池運輸は危険物倉庫を所有しており、消防法をはじめとする関係法令に準拠した安全管理体制のもと、危険物の適正な保管・管理を行っています。危険物倉庫の設置・運営に課題をお持ちの荷主様に対して、アウトソーシングという選択肢をご提案することも可能です。
危険物物流のコスト最適化や効率化、法令遵守体制の確保などをご検討の際は、ぜひお気軽に鴻池運輸へお問い合わせください。詳しくは、こちらの「国際物流」のページをご参照ください。
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