It's our PROJECT
社会主義国家のベトナムでは、基本的には海外企業が単独で業務を行うことが難しい。
そのため、よりスケールの大きい本格的なビジネスを行うためには、ベトナムの企業と合弁企業を立ち上げ業務を行うのが一般的なやり方だ。
ベトナムとの合弁会社が認められる条件は、ベトナムが「外貨を獲得できること」と「新しい技術を得ることができること」の2点が主である。
現地に工場を設置し、現地の労働者を雇用する製造業においては、上記の条件は満たしやすく、実際、ベトナムに限らず海外に進出する企業の多くは製造業だ。
特に発展途上にあり、早急に外貨や技術を求めるベトナムにおいては、自国企業の首を絞めかねない物流などのサービス業の参入にはメリットを見いだせず、合弁の許可が中々おりなかった。
しかし、鴻池運輸はこう考えた。
「いくら製造業が安価でクオリティの高い製品を生産できても、 生産地における物流のクオリティを高めなければ、その製品のグローバルな競争力は見込めない」
つまり、いくらベトナムの工場において安価に良い製品を生産できても、工場から港や空港へ輸送する間に製品を痛めてしまうと元も子もないということだ。
製造業においてベトナムに進出している日本企業、そしてその他の国の企業の製品の価値を高めるためにも、そして、何よりも、鴻池運輸のベトナムでの確固たる基盤を築くためにも、合弁会社を設立して、ベトナムに日本クオリティの物流を実現させなければならない。 ひいてはそれが、ベトナムという国の発展にも貢献することになるはずだ。
こう考えた鴻池運輸は、ベトナムの政府と粘り強い交渉を重ねていった。
そして、とうとう、鴻池運輸とベトナム双方のメリットとなる策が見つかることとなる。
鴻池運輸幹部が、ベトナム政府との会談の中で、
「当社の定温物流のノウハウをベトナムで展開することが『技術の提供』になるのではないか。」 と持ちかけたのだ。
一言に「定温物流」といっても、機材を導入すればできるといったものではない。
様々な種類の製品に適切な温度を保ったソリューションを提供すること、特に食に関する冷凍・冷蔵物流のソリューションは、永年の経験とノウハウが無ければ提供できないのだ。
その事実を理解したベトナム政府は、鴻池運輸に合弁会社設立を認可した。
その認可は、単なる双方の経済的な観点からのものだけではなく、早くからの駐在員によるコネクション作り、そして幹部たちの粘り強い交渉というチャレンジがあってこそ実った成果に他ならなかった。
しかしそれは、鴻池運輸が、東南アジアにおけるビジネスの、スタート地点に辿り着いたというだけのことだった。
今まで経験しなかった様々な問題が立ちはだかった。 異郷の地での冷凍・冷蔵倉庫建設。
国民性や文化の違いによるクオリティや安全管理の難しさ。
当初見込んでいた日本企業の利用が思ったほどふるわなく、ベトナム企業への営業に走り回る日々。
しかしそれらの問題を、 「チャレンジする社内風土」と両輪を成す「辛抱強く一歩一歩確実に進めていく」という企業性で、鴻池運輸は乗り越え、ベトナムにおける安定した基盤を造り上げていった。






